2003 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱始原菌における遺伝子交換系の構築に関する研究 〜およびその系を利用した研究〜
Project/Area Number |
03J05649
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 喬章 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超好熱菌 / 遺伝子交換系 / 遺伝子破壊 / 相同的組換え / 始原菌 |
Research Abstract |
これまでに、超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensisのpyrF遺伝子欠損株KU25を宿主、pyrFを選択マーカーとして相同的組換えを利用した遺伝子交換系の構築に成功している。これは超好熱始原菌としては初めての報告である。ただしpyrFマーカーとした系では形質転換体の選抜に2回の液体培養が必要であり、手間がかかる上に形質転換効率を算出できなかった。またKU25株のpyrF欠損は1塩基欠失であり残りの部分はそのまま染色体上に残っていた。よって、マーカーpyrFがこの部位でも組換えを起こしてしまい目的の形質転換体を効率良く得にくいという欠点もあった。 そこで平成15年度では遺伝子交換系のさらなる最適化を目指した。まずpyrFのほぼ全長を特異的に欠失させたKU216株(ΔpyrF)を相同的組換えにより作製した。次にこのKU216株のTrp生合成遺伝子trpEのほぼ全長をpyrFをマーカーとした先の系を利用して破壊し、Trp要求性を示すKW128株(ΔpyrF,ΔtrpE::pyrF)を作製した。そしてこの株を宿主、trpEを選択マーカーとしhisD遺伝子の破壊を試みた。その結果、Trp要求性が相補されたhisD破壊株KH3(ΔpyrF,ΔtrpE::pyrF,ΔhisD::trpE)を得ることができ、新たな遺伝子交換系の構築に成功した。本系では固体培地を用いての1ステップの形質転換体選抜と形質転換効率算出が可能であり、より優れた系を構築できた。宿主KW128ではtrpEのほぼ全長を削ることによりこの部位での組換えは抑えることができたが、組換えに必要な相同領域を極端に短くすることはできなかった(500bp程度は必要)。 現在は最適化した系を用いて興味深い遺伝子について系統的に破壊株を作製している段階で、hisDの他に既に4種類の遺伝子破壊株の作製に成功している。
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