2005 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱始原菌における遺伝子交換系の構築に関する研究〜およびその系を利用した研究〜
Project/Area Number |
03J05649
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 喬章 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 始原菌(Archaea) / 核酸合成 / ペントースリン酸経路 / リブロースモノリン酸経路 / 遺伝子破壊 / リブロース-5-リン酸 |
Research Abstract |
[背景] 一般的に細菌や真核生物は核酸の前駆体となるリブロース-5-リン酸(Ru5P)をペントースリン酸経路(PPP)により生合成している。しかし、始原菌のほとんどはPPPを構成する遺伝子セットを持っておらず、どのようにRu5P・核酸を合成しているのか不明であった。そこで、ヘキスロースリン酸シンターゼ(HPS)およびホスホヘキスロイソメラーゼ(PHI)から構成されるリブロースモノリン酸(RuMP)経路が注目された。この経路は当初、ホルムアルデヒドを無毒化・固定するための経路として考えられていたが、それらの遺伝子(hpsおよびphi)がPPPを持たない始原菌にも分布していること、その逆反応がRu5P合成反応に当たること等から、このRuMP経路が始原菌においてRu5Pを合成している可能性が考えられた。 [進行状況] そこで平成17年度はこれまでに構築した遺伝子破壊系を用いて、超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensisにおいてRuMP経路が核酸合成に寄与しているかを調べた。本菌はhpsとphiを1つの融合遺伝子(hps/phi)として保有している。trpE遺伝子を選択マーカー、trpE破壊株KW128を宿主としてhps/phi破壊株(Δhps/phi)を作製した。PCR、サザンブロット、シーケンス解析により目的の遺伝子型であることを確認した。宿主KW128はヌクレオシドの有無にかかわらずアミノ酸培地で増殖を示したのに対し、Δhps/phi株はヌクレオシド添加時のみ増殖を示した。さらに本菌が炭素源として利用できるピルビン酸やマルトデキストリンをヌクレオシドの代わりに加えてもΔhps/phi株は増殖を示さなかったことから、炭素源が不足して増殖していない訳ではないことを確認できた。 このように、本菌ではRuMP経路が核酸合成のための経路として機能していることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)