2003 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームRNA成熟制御を介した核による葉緑体機能発現調節機構の解明
Project/Area Number |
03J05695
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸根 雅宏 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 葉緑体 / リボソームRNA / RNAプロセッシング / RNase / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
1.葉緑体RNase Rの解析 2627-2株(葉緑体RNase R変異株)の葉緑体タンパク質の標識実験を行い、2627-2株では野生株と比較して葉緑体リボソームの翻訳活性が低下していることを明らかとした。また、葉緑体RNase Rの細胞内移行シグナルとGFPとの融合タンパクの一過的発現解析を行い、この酵素が葉緑体に局在することを確認した。 葉緑体RNase RにHis Tagを付加したタンパクを大腸菌内で大量発現・精製を行い、抗体作製及び酵素活性の測定を試み、抗体については十分な力価が得られた。活性測定に関しては、現在粗精製タンパクによる活性測定系の確立を試みている。 2.葉緑体RNaseホモログ破壊株の単離 大腸菌及びラン藻のRNaseとの比較から、シロイヌナズナの葉緑体RNaseの候補遺伝子7種を選定した。これらの遺伝子のT-DNA挿入破壊株の種子をSALK INSTITUTEから得て、遺伝子破壊株の確立を行った。その結果、葉緑体で機能することが示唆される葉の退色を示したRNase E、PNPase及びRNase R破壊株を同定した。なお、今回単離したRNase R破壊株は、これまで解析を行ってきた2627-2株と同一の遺伝子破壊であったが、2627-2株と異なり遺伝子内部へのT-DNAの挿入が認められたため、この株も解析に用いた。 これらについて、葉緑体RNAの蓄積量及びプロセッシングを解析した結果、RNase E破壊株では、Rubisco LサブユニットをコードするrbcL mRNAのプロセッシング異常が認められた。また、PNPase破壊株では、多くのRNAにおいて野生株より200-300塩基程度サイズの大きな分子の蓄積が認められ、3'末端のプロセッシングに異常があることが示唆された。RNase R破壊株については、2627-2株よりも深刻なrRNA量の減少が認められた。
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