2004 Fiscal Year Annual Research Report
線虫由来の糖鎖分解酵素の生理機能の解明と糖鎖の代謝機構の解析に関する研究
Project/Area Number |
03J05700
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 紀彦 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Caenorhabditis elegans / 遊離糖鎖 / endo-β-N-acetylglucosaminidase / α-mannosdiase |
Research Abstract |
線虫C.elegansの糖鎖分解酵素(Endo-β-N-acetylglucosaminidase(Endo-CE,ENG-1)、α-Mannosidase(F58H1.1))の生理機能を調べるためには、基質と考えられる細胞内遊離糖鎖の構造を知ることは不可欠である。そこで、C.elegans N2株(野生型)を大量培養し、遊離糖鎖を抽出、精製、蛍光標識したのちにHPLC、MS分析によりその糖鎖構造を分析した。その結果、還元末端に1残基のN-acetylglucosamine(GlcNAc)を有し、非還元末端側に5〜9残基のMannoseを有する糖鎖(M5'〜M9')を多く有することが明らかとなった。さらにエキソマンノシダーゼ消化による解析によって、M5'はすべてM5A'であることを見出した。これは哺乳類の遊離糖鎖に見られるM5C'とは異なり、むしろ植物から見出されている構造と類似であることが明らかとなった。 また、各遺伝子(eng-1,F58H1.1)の欠損株作製のために、C.elegans deletion mutantライブラリーをTMP/UV法で作製し、284,000ゲノム分の変異株ライブラリーを構築することに成功した。そのライブラリーよりPCRを用いてF58H1.1の変異を持つ株の取得に成功した。 また、eng-1の5'RACEを行ったところ、成熟mRNAの5'末端には開始コドンのすぐ上流にSplicing Leader 2(SL2)と呼ばれる22ntの配列が付加されていることを見出した。SL2はオペロンの一番下流の遺伝子特異的に付加されるものであることが知られている。よって本遺伝子も上流の遺伝子(F01F1.11、F01F1.15)とオペロンを構成している可能性が示唆された。
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