2003 Fiscal Year Annual Research Report
非ペプチド抗原によるガン細胞標識とγδ型T細胞による認識機構の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
03J05703
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 悠 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | γδ型T細胞 / 非ペプチド性抗原 / 抗原提示 |
Research Abstract |
γδ型T細胞は、結核菌、マラリア原虫、リステリア、リケッチアなどの病原性微生物による感染初期に増殖し、病変部に局在がみられたことから、病原性微生物感染応答に関与することが示唆されている。その抗原としては、病原性微生物由来の非ペプチド性抗原であるピロリン酸モノエステル、アルキルアミンが同定され、更に骨粗髭症抑制剤である窒素含有型ビスフォスフォネートもその一つとして挙げられる。しかし、これら非ペプチド性抗原の認識機構について、分子レベルでの解析はほとんど進められていない。 現在までの研究により、末梢血単核球や様々なヒトがん細胞群において、非ペプチド性抗原である窒素含有型ビスフォスフォネートと共培養すると、γδ型T細胞の活性化の誘導が見られ、IL72,IFN-γなどのサイトカインの産生、細胞増殖、がん細胞傷害性などのエフェクター作用の顕著な増強が確認されている。一方、マウス、ラットなどヒト以外の動物細胞種に由来するがん細胞において同様に検討した結果、これらのがん細胞には全くγδ型T細胞活性化誘導能はみられなかった。以上の結果から、ヒトがん細胞特異的に非ペプチド性抗原提示に関与する分子あるいは補助刺激誘導分子が存在することが示唆される。次に、この分子に対するモノクローナル抗体を作製し、新規分子クローニングを行った。ヒト腎臓がん細胞を免疫原としてハイブリドーマを作製し、γδT細胞の反応性に差のある数種類のヒトがん細胞を用いたスクリーニングにより、3種類の同一分子に対する抗体が得られた。この抗体を用いた免疫沈降により濃縮したタンパク質を、トリプシン等の酵素により断片化し、そのペプチド群をMALDI-TOF/MSにて測定、得られた質量値群をもとにデータベース検索を行った結果、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する分子が同定された。 現在、この分子によるγδ型T細胞への抗原提示に関する機能解析を検討している。
|
Research Products
(1 results)