2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的RhoファミリーG蛋白質Rnd2の新規神経機能の探求
Project/Area Number |
03J05707
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 博子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Rnd / Rho / エフェクター / 神経突起 |
Research Abstract |
神経回路は、特異的な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。そのシステムの中でRhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質(G蛋白質)はアクチン骨格の再構成を行い、様々な神経細胞において形態変化を引き起こす。Rndサブファミリーは新たなRhoファミリーG蛋白質の一員で、Rnd1、Rnd2、Rnd3で構成される。これまでRnd1とRnd3はRhoAのシグナル経路に対して抑制的に働くことが知られているが、Rnd2のシグナル経路はあまり解明されていない。 そこで本研究ではRnd2の結合蛋白質からシグナル経路を探るため、Rnd2をbaitとして酵母ツーハイブリッドスクリーニングを行った。その結果、大脳皮質や海馬ニューロンといった神経細胞に多く発現する新規Rnd2エフェクター蛋白質を同定し、Pragmin (Rnd2のpragma<実用的なもの、道具>)と命名した。in vivo並びにin vitroでの結合実験によると、PragminはRhoファミリーの中でGTP結合活性型Rnd2に特異的に直接結合した。またRnd2と結合するとPragminはRhoAの活性を著しく増加させ、RhoAとその下流のエフェクター分子であるRho-kinaseによるシグナル経路を経て、HeLa細胞の収縮を引き起こすことが明らかになった。更にPC12細胞では、NGFによる突起形成がPragminの発現によってRnd2依存的に阻害され、またPragmin特異的なRNA干渉によるPragminのノックダウンによって突起伸長が促進された。以上の結果から、RhoAシグナル経路を阻害するRnd1とRnd3とは対照的に、Rnd2はPragminを介してRhoAを活性化し、神経突起形成の制御因子として機能することを解明した。
|
Research Products
(1 results)