2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的RhoファミリーG蛋白質Rnd2の新規神経機能の探求
Project/Area Number |
03J05707
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 博子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Rnd / Rho / エフェクター / two-hybrid法 / キナーゼ / 小胞輸送 |
Research Abstract |
脳神経系での神経機能発現において、シナプスを介した神経細胞の情報伝達は極めて重要なシステムである。シナプスにおける小胞輸送は、前シナプスではシナプス小胞を神経終末に運び、後シナプスではAMPA型グルタミン酸受容体を刺激依存的に輸送しシナプス可塑性を引き起こすといった、様々な神経機能を発現するための重要なステップであるが、その分子レベルでの制御機構はあまり理解されていない。 小胞輸送において、RhoファミリーG蛋白質が重要な役割を担うことを示唆的に示す報告がされている。私はこれまでに、中枢神経系に特異的に発現しているRhoファミリーG蛋白質の一つ、Rnd2がVPS4-Aによって初期エンドソームに集積され、小胞輸送の調節を行なっていることを示した。これは、Rnd2の小胞輸送における作用部位を明らかにしたことを意味する。しかしRnd2がその下流でどの様なエフェクターを介してシナプス小胞輸送を調節するかは明らかではない。他のRhoファミリーG蛋白質は、機能的に異なる複数のエフェクター分子を介して多彩な生理作用を発揮しており、Rnd2においても複数のエフェクター分子の存在が想定される。そこで、酵母two-hybrid法を用いてRnd2の特異的なエフェクター分子をスクリーニングしたところ、いくつかのRnd2結合蛋白質を得た。その中の一つに、N末端側は他の蛋白質とのホモロジーはないが、C末端側にキナーゼドメインを有する未知の分子の一部を得た。この分子の全長をクローニングし、Rnd2との結合をPull-down法、免疫沈降法、およびdot-blot法で調べたところ、Rhoファミリーの中でRnd2に特異的に結合することがわかった。また、HeLa細胞を用いてその細包内局在を見ると、細胞内小器官とは異なる部位に集積していた。現在、Rnd2により発揮されるこの分子の生理的機能を解析中である。
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