2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的RhoファミリーG蛋白質Rnd2の新規神経機能の探求
Project/Area Number |
03J05707
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 博子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Rnd / Rho / エフェクター / キナーゼ |
Research Abstract |
RhoファミリーG蛋白質は転写調節、膜輸送、細胞形態といった様々な細胞活動を制御する重要な調節分子である。最近、新規サブファミリーRnd(Rnd1,Rnd2,Rnd3)が発見された。そのうちRnd1とRnd3はRhoシグナル経路において抑制的に働くことなどが報告されているが、Rnd2に関しては脳に多く発現していること以外わかっておらず、その生体内での機能は不明である。 これまで私はRnd2結合蛋白質としてVPS4-Aを単離し、Rnd2のVPS4-Aを介した小胞輸送制御機構を明らかにした。しかしRnd2の脳神経機能を司る分子メカニズムの全体像はあまりわかっていない。 そこで、私はさらなるRnd2特異的エフェクター分子を同定する目的で、酵母two-hybrid法を用いて、ラット脳cDNAライブラリーから常時活性型変異体Rnd2^<A16V>と相互作用する分子をスクリーニングした。得られたいくつかの陽性クローンの一つに、キナーゼドメインを有する新規Rnd2結合蛋白質の一部を単離し、Rndキナーゼと命名した。 RndキナーゼとRnd2の結合をPull-down法、dot-blot法、および免疫沈降法により調べたところ、RhoファミリーGTPaseの中でRnd2に特異的に、又、GDP結合不活性型よりGTP結合活性型Rnd2に強く結合した。次にHeLa細胞にRnd2^<A16V>とRndキナーゼを共発現させたところ、細胞のラウンディングや膜のブレッビングが見られたが、Rnd2^<T21N>(不活性型変異体)では起こらなかった。またこの形態変化は特異的Rhoキナーゼ阻害剤Y-27632により有意に抑制された。さらにRnd2とRnd-kinaseの共発現によりRhoAの活性化が認められた。 以上の結果から、Rnd2は新規エフェクター分子Rndキナーゼを介し、RhoA/Rhoキナーゼシグナル経路を経由して、細胞ラウンディングや膜ブレッビングといった細胞形態変化を行っていることが示唆される。現在、詳細な分子機構および脳神経系での生理的機能について解析中である。
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