2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05723
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪田 良一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 体節 |
Research Abstract |
一昨年度より継続しているHes1タンパクの翻訳後修飾と共に、体節形成において周期性をつかさどる事がノックアウトマウスなどの研究結果から示唆されているオシレーション分子Hes7の翻訳後修飾の研究もしており、以下のような新規な結果を得つつ今後の方向性を探っている。 bHLH型転写抑制因子HES7はリジン残基を7個持つ。当研究室の以前の報告で、個々のリジン残基をそれぞれアルギニンに置換したK→Rミュータントを作成し転写抑制活性を測定したところ、HLHドメイン内の3つのリジン残基をアルギニンに置換した3つのミュータントは転写抑制能を失っている事が知られていた。 昨年度よりこの3つのミュータントが転写抑制活性の喪失する機構について検討した。Hesファミリーの内Hes1分子の転写抑制機構は比較的よく調べられている。核内への移行後、ホモダイマーを形成しDNAコンセンサス配列に結合しC末端にあるWRPWモチーフを介してコリプレッサーTLE分子をリクルートする。 Hesファミリー分子群は互いにドメイン構造もよく似ており、Hes7分子もHes1分子と同じ作用機序で転写抑制能を発揮すると仮定し、Hes7ミュータント分子群および野生型を培養細胞に強制発現しホモダイマー形勢、核内移行、TLEとの結合を検討した。またEMSA法でDNA結合能をWTとミュータント群で検討した。以上の4つの実験で野生型や転写抑制活性の喪失が見られなかった4つのミュータント群と3つのミュータント顕著な差は見られなかった。したがって、既知のHesファミリー分子の転写抑制機序では説明できない新たなメカニズムの存在が示唆された。 一方で、Hes7タンパクがユビキチン-プロテアソーム系で分解される。野生型およびミュータントのタンパク半減期を調べたところ、転写抑制活性を失った3つのK→Rミュータント(HLHドメインのリジンを→アルギニン)は野生型などに比べてタンパク半減期が長い事が明らかとなった。 この結果より、Gal4、SREBPなど多くの転写活性化因子でユビキチン化が転写活性化に必須である事が示されているものの転写抑制因子では報告が無い。現在、我々は一つの仮説として、転写抑制因子Hes7もユビキチン化によりその活性化が制御されているのではないか?と仮定し実験を行なっている。
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