2005 Fiscal Year Annual Research Report
生態系機能に与える時間的変動性と空間的不均一性の影響
Project/Area Number |
03J05732
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 健 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子の水平伝播 / バイオレミディエーション / メタ群集 / 炭素循環 / 生物ポンプ / 数理モデル |
Research Abstract |
生体異物(XB)に汚染された環境では、XBを分解する機能を持つ外来の移動性遺伝子(MGE)を在来群集中の細菌に水平伝播させることによって、環境浄化を行うという試みが提案されてきた。本研究は、自然環境中におけるXB分解遺伝子の長期動態に初めて注目したものである。そこで数理モデルによって、外来導入細菌から在来細菌へのMGEの接合による水平伝播を扱った。MGEの長期動態を考える上で、MGEが在来細菌群集中で増加すればするほど、その機能の発現によりXB濃度が低下し、MGEを持つ細菌のMGEを持たない細菌に対する優位性が低下し、MGEの増加が抑制されていくという時間的変動性に注目した。そして、水平伝播速度やMGE維持コスト、系の生産性などのさまざまな要因によってMGEの長期動態および細菌群集の持つXB分解能が決定されることを明らかとした。成果は日本生態学会で発表すると同時に、投稿論文に執筆中である。 また、海洋における細菌群集が関わる重要な生物化学的プロセスである、生物ポンプに注目した理論的研究も行った。生物ポンプとは、海洋表層で植物プランクトンによって生産された有機物としての炭素が、海洋深層へと沈降していくプロセスである。海洋表層においては、細菌群集の組成に空間的な不均一性が存在し、空間的な細菌の移動によって、それぞれの場所でも細菌の組成が変化しうる。このメタ群集プロセスに注目し、時間的な環境変動に対する細菌群集の組成変化と生物ポンプの変化について数理モデルを用いて予測した。その成果は大阪での国際シンポジウムBDCE2006において発表した。また、カナダの国際生態学会およびスペインのアメリカ陸水海洋学会では前年度の研究成果を発表した。
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