2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌の口臭原因物質の遺伝学的背景の解析と口臭治療法の開発
Project/Area Number |
03J05740
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉村 満美子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 口臭 / メチルメルカプタン / 歯周病 |
Research Abstract |
口臭物質として最も有力視されているメチルメルカプタンの発生において、口腔内の偏性嫌気性菌の有するメチオニン分解酵素が重要な役割を果たし、また、同物質が歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの病原因子の一つとして働いていることがこれまでの研究により明らかになっている。そこで、この菌が実際に宿主に感染した際に、菌体内でのメチオニン分解酵素の発現に変化があるかをしらべるために、以下のような実験を行った。まず、生後8週齢のBALB/cマウスの背部皮下に直径8mm、長さ2Ommのステンレスコイルを埋入する手術を行った。手術の1週間後、埋入したコイルの周囲は結合組織で覆われ、コイル内部は一部滲出液に満たされた中空状態になった。次に、1昼夜嫌気状態で培養したP.gingivalisW83株の培養液30mlを遠心し、菌体を回収して0.5mlの新鮮な培地で懸濁した。こうして得られた菌液を1個体につき0.5mlコイル内に注入し、3時間後内溶液を再びシリンジにて回収した。この菌体および通常通りに培養した菌体を2次元電気泳動で展開し、メチオニン分解酵素およびそれに関連する代謝酵素について、スポットの増減を比較した。現在それぞれの泳動パターンを比較した際差のあるスポットも含めて、宿主内での発現に変化のあるタンパクについて解析中である。また、メチオニン分解酵素をターゲットとした口臭治療薬の開発については、同酵素の非括抗阻害剤であり、高メチルメルカプタン産生菌に対して高い抗菌作用を示す薬物であるトリフルオロメチオニンを用い、含嗽により呼気中のメチルメルカプタン量に変化があるかをしらべたところ、対照群と比較して有意に抑制されることが明らかになった。
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