2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌の口臭原因物質の遺伝学的背景の解析と口臭治療法の開発
Project/Area Number |
03J05740
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉村 満美子 長崎大学, 大学院・医歯学綜合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 口臭 / メチルメルカプタン / 歯周病 |
Research Abstract |
口臭原因物質として最も有力視されているメチルメルカプタンの発生において重要な役割を果たすメチオニン分解酵素が歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisの病原因子の一つとして働いていることがこれまでに明らかになっている。また、この菌が実際に宿主に感染した際に発現が上昇する蛋白にっいては、BALB/cマウスに接種後回収した菌体について2次元電気泳動で展開し、蛋白の同定を行った。ところで、微生物感染時に迅速に機能する免疫応答機構としてマクロファージ・樹状細胞などが担う自然免疫が重要であるが、高メチルメルカプタン産生株であり、いわゆる強毒株として知られるP.gingivalis W83株と、低メチルメルカプタン産生株であり、いわゆる弱毒株として知られるATCC 33277株では、宿主による自然免疫応答に違いがあるかを調べた。まず、マクロファージの前駆細胞であるヒト末梢血由来単球にこの2株をそれぞれ感染させ、分化の方向に変化があるかを調べた。フローサイトメーターを用いてマクロファージの分化マーカーであるCD14、CD11b、HLA-DR、FcRγについて発現の変化を比較したところ、P.gingivalis感染単球はM-CSF分化誘導型マクロファージ様の表面マーカーの発現を示した。ところが、株間でのその発現傾向の差は認められなかった。次に、抗原提示細胞である樹状細胞にこの2株を抗原として感染させ、その後CD4+T細胞と共培養したところ、弱毒株であるATCC 33277株を抗原として与えた群ではT細胞の増殖が有意に促進された。このことから、これら2株について貧食細胞による貧食されやすさに差があるのではないかと推察し,菌を貧食させた細胞内での生菌数を調べたところ、W83株はATCC 33277株と比較してマクロファージに貧食されにくいことが明らかになった。
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