2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05807
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長森 美信 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 朝鮮 / 海上交通 / 商品流通 / 歴史地理 / 済州 / 賑恤 / 青魚 / 明太 |
Research Abstract |
平成16年7月24日、朝鮮史研究会関西部会七月例会(於河合塾梅田校セルスタ会議室)において口頭発表した「一七〜一八世紀朝鮮東海産物の流通構造」では、朝鮮において全国的な商品流通体系が形成されていく該当時期の遠隔地商品流通様相の構造的把握を目的として、青魚(ニシン)と明太(スケトウダラ)という二つの東海(日本海)産物に注目し、その流通経路と流通様相について考察した。その結果、活動範囲をそれぞれ異にする全羅道、慶尚道地域の船商たちが東海産物を各地に流通させていた事実、そして東海産物の流通形態について、実際の交易事例の分析を通して明らかにした。その要旨は「一七〜一八世紀朝鮮東海産物の流通様相」として『朝鮮史研究会会報』第158号に掲載された。 また研究代表者は、18〜19世紀の済州島を主たる対象として、賑恤穀の輸送体系、官民による商品流通構造について考察を進めているが、10月に公刊された論文「一八世紀済州地域の凶年と賑恤策」では、その前提となる同地域に対する賑恤策について考察した。賑恤策、特に穀物移転の実態分析から、全国規模の穀物流通が朝鮮王朝国家の地方支配と大きく関わっていた点を明らかにした。 なお、12月12日に九州大学で開催された九州史学会大会朝鮮学部会では「朝鮮後期沿海航路の復元」を口頭発表した。申景溶が著した『道路攷』を中心に、18〜19世紀の沿海交通路を地図上に復元した。『道路攷』と同時期の地理資料との対照、地名の現地比定を綿密に行うことにより、当時の朝鮮半島全沿海地域にわたる海路図を作成した。水路・陸路を問わず、前近代朝鮮の交通路に関する研究は極めて乏しく、今後も歴史地理学的観点からより精密な交通路復元の作業を継続する予定である。
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Research Products
(2 results)