2004 Fiscal Year Annual Research Report
生物の階層性に基づく長期記憶成立メカニズムの包括的解析
Project/Area Number |
03J05820
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
畠山 大 東海大学, 開発工学部, 特別研究員PD
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Keywords | 淡水産腹足類 / 味覚嫌悪学習 / 転写調節因子 / C / EBP / CBP / グルタミン酸様免疫染色 |
Research Abstract |
淡水棲カタツムリLymnaea stagnalisは学習・記憶のモデル生物として広く利用されている.本研究では,Lymnaeaの転写調節因子C/EBPに着目し,ショ糖とKC1とを組み合わせた味覚嫌悪学習に伴うC/EBPの発現の変化を解析した.組織学的実験により,味覚嫌悪学習の鍵を握るB2細胞にC/EBPのmRNAとタンパク質が局在していた.そして,味覚嫌悪学習によりB2細胞におけるmRNA量は減少した一方で,B2細胞を含む口球神経節におけるC/EBPのタンパク質量が増加した.これは,学習によりC/EBPの翻訳活性が高まり,タンパク質合成と共に,mRNAへの急速な分解による結果だと考えられる.組織学的データはCell Tiss Res誌に掲載され,mRNA量とタンパク質量の変化に関しては,現在J Mol Biol誌へ投稿準備中である. 平成16年9月からは,ハンガリーのBalton Limnological Research Instituteにて,免疫組織学的手法によりLymnaea中枢および末梢神経系におけるグルタミン酸の局在解析を行った.この実験により,グルタミン酸はLymnaeaの咀嚼運動のリズムを形成するニューロンに局在することが示された.また,中枢から抹消へと伸びる神経や腹足の感覚細胞にもグルタミン酸が存在し,グルタミン酸がLymnaeaの行動発現や感覚受容に重要であることが示された.現在J comp Neurol誌へ投稿準備中である. 平成16年10月からは,イギリスのUniversity of Sussexにて,LymnaeaのCBPのクローニングに着手している.現在までにCBPの部分的なクローニングに成功し,CREBとの結合部位であるKIX domainに高い保存性が確認された.今後は,Lymnaeaの学習におけるCBPの役割を解析していく予定である.
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Research Products
(5 results)