2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J05869
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関根 康介 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プラスチド核様体 / 亜硫酸還元酵素 / DNA結合タンパク質 / エンドウ |
Research Abstract |
色素体DNAは多くのタンパク質と核様体と呼ばれる複合体を形成するが,その主要タンパク質の一つとして亜硫酸還元酵素(SiR)が同定されている。しかしこれまでSiRは葉緑体の可溶牲画分に酵素活性があることからストロマに局在すると考えられてきた。本研究の目的はSiRのDNA結合能と酵素としての機能の関係を解明することである。平成15年度は,核様体の単離が容易であるエンドウのSiRをコードするcDNAの単離とSiRのDNA結合能の分析を主に行った。数種のSiRの塩基配列からディジェネレートプライマーを設計し,エンドウのゲノムDNAをテンプレートにPCRで短い部分配列を得た。それをプローブとしてエンドウのcDNAラィブラリーのスクリーニングを行い,エンドウSiRのcDNAを単離した。また,得られたcDNAをもとに大腸菌を用いた大量発現によりエンドウSiRの組換えタンパク質を作成した。組換えSiRを,モルモットに免疫し,エンドウSiRの抗体を作成した。これらcDNA,組換えタンパク質及び抗体を用い基本的な解析をおこなった。ゲノムDNAを使ったサザンブロット解析からエンドウのSiR遺伝子は単一であることが推定された。また,RNAブロット解析から,根茎葉の各器官におけるSiRのmRNAの蓄積量に顕著な違いは見られず,エンドウSiR抗体を用いた免疫ブロットの結果からもSiRタンパク質の量にも大きな違いは見られなかった。これらの結果から,核様体とストロマに存在するSiRは一種類のタンパク質であることが示唆され,器官ごとの発現量に違いがないことから翻訳後の調節機構が存在することが考えられる。SiRのDNAとの結合性を調べるため,組換えSiRを使ったゲルシフト解析を行った。SiRは非配列特異的にDNAと結合し,一本鎖DNAにも結合することが分かった。DNA結合の解析は今後さらなる実験が必要である。
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