2004 Fiscal Year Annual Research Report
スタンノールジアニオンを用いた含スズ新規π電子系の構築
Project/Area Number |
03J05877
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
芳賀 隆太 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, DC1
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Keywords | スタンノールアニオン / スタンノールジアニオン / ジクロロメタン / 1,n-ジブロモアルカン / 蛍光 / クロロトリイソプロピルシラン |
Research Abstract |
私はこれまでスタンノールアニオン及びジアニオンの簡便な合成法を確立し、その構造及び物性について研究してきた。今回、それらの反応性を明らかにし、新規含スズπ電子系化合物に誘導することを目的とした。 ペンタフェニルスタンノールアニオン1にジクロロメタンを作用させたところ、スタンノール環が炭素1つで連結された1,1-ビス(ペンタフェニルスタンナシクロペンタジエニル)メタン(2)が収率79%で得られた。X線結晶構造解析の結果、2は2つのスタンノール環が重なるサンドイッチ構造であることが明らかとなった。1と1,2-ジブロモエタンとの反応では、スタンノール環がスズ上で2つ連結したビ(1,1-スタンノール)が得られた。これは、スタンノールアニオンが1,2-ジブロモエタンによって一電子酸化された結果と考えられる。1,n-ジブロモアルカン(n=3,4,5,6)との反応では、それぞれ対応する炭素鎖でスタンノール環が連結された1,n-ビス(スタンナシクロペンタジエニル)アルカンが得られた。 炭素鎖で連結された化合物は、いずれも紫外可視吸収スペクトルにおいて360nm付近に吸収極大を示し、360nmの光で励起させたところ410nm付近に蛍光が観測された。今後、これらの光物性の詳細を明らかにしていく予定である。 スタンノールジアニオンにクロロトリイソプロピルシランを作用させ、NMRによる直接観測を行ったところ、^<119>Sn NMRにおいて-218ppmに新たなシグナルを観測した。種々のNMRスペクトルの結果より、スズ上にトリイソプロピルシリル基が導入されたスタンノールアニオンが発生していることが示唆された。今後、X線結晶構造解析などでその構造を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)