2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化修飾による蛋白質制御メカニズムの解析-ユビキチン系をモデルとして-
Project/Area Number |
03J05934
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 春人 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Iron Regulatory Protein 2 / ヘム / 酸化修飾 / ユビキチン / 蛋白質分解 |
Research Abstract |
これまでの研究で、IRP2の鉄依存性分解機構には、鉄-ポルフィリン錯体であるヘムのIRP2への結合と、それに伴う酸化修飾反応がユビキチン化酵素に認識されることが必要であることを示してきた。本年度は、IRP2の鉄依存生分解をアミン酸残基レベルで解明するために、IRP2の分解に重要な残基と、IRP2内におけるヘムの結合部位を、変異体を用いることで同定を試みた。 その結果、培養細胞を利用した実験では、IRP2の鉄依存生分解に重要であるIDD(Iron Dependent Degradation)ドメイン内部の、システイン残基とヒスチジン残基が、鉄依存生分解に重要であることを示唆する結果を得た。また、ヘムの配位しているアミノ酸残基については、変異体と、電子吸収スペクトル、電子スピン共鳴(ESR)、共鳴ラマン分光法を利用することで、分解に重要であることが示唆されたシステイン残基とヒスチジン残基がヘムに配位している可能性が高いことが明らかとなった。ここで特筆すべき点は、ヘム鉄の酸化状態の変化に伴い、配位しているアミノ酸残基が変わることである。これまでの結果では、鉄の酸化状態が鉄三価の場合、ヘム鉄に配位しているアミノ酸はシステイン残基であり、酸化状態が二価の場合はヒスチジン残基となっていることが予測された。培養細胞系における鉄依存性分解では、システイン残基とヒスチジシ残基の両方が重要である可能性が示唆されており、鉄の酸化状態の変化とそれに伴うヘムの配位残基の変化がIRP2の分解に関与している可能性が考えられる。今後は、今回明らかになった、ヘム結合および鉄依存性分解に重要なシステイン残基とヒスチジン残基と,、酸化修飾の関係について検討を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamanaka, K. et al.: "Identification of the ubiquitin-protein ligase that recognizes oxidized IRP2"Nature Cell Biology. 4. 336-340 (2003)
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[Publications] Inuzuka, T. et al.: "Identification of crucial histidines for heme binding in the N-terminal domain of the heme-regulated eIF2α kinase"The Journal of Biological Chemistry. (印刷中).
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[Publications] 田中 啓二 他: "実験医学増刊タンパク質修飾・分解の新機能に迫る"羊土社. 222 (2004)