2005 Fiscal Year Annual Research Report
非ヘム遷移金属酵素活性中心における分子状酸素の活性化機構の解明
Project/Area Number |
03J05996
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大迫 隆男 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員
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Keywords | キノリン系配位子 / 銅(II)錯体 / 過酸化水素 / ヒドロペルオキソ種 / 銅(I)錯体 / 分子状酸素 / 四酸化オスミウム / メタンの直接酸化 |
Research Abstract |
キノリン系配位子を用いた銅(II)錯体と過酸化水素との反応 一連のキノリン系配位子を用いて調製した銅(II)錯体と塩基存在下、過酸化水素との反応について各種分光法や理論計算により検討を加え、その反応メカニズムを明らかにした。その結果、本反応は初めに銅(II)中心に溶媒分子が配位子した5配位単核銅(II)ヒドロペルオキソ種が生成した。反応はさらに進行し、溶媒分子が脱離し、分光学的性質の異なる平面4配位単核銅(II)ヒドロペルオキソ種生成することを明らかにした。以上の結果は新規な特性を持つ銅-酸素活性種について知見を与えるものである。 銅(I)錯体の分子状酸素への反応性に及ぼすピリジン環の6位のメチル基効果 ピリジン環の6位にメチル基を導入したピリジルメチルアミン系三座配位子を用いて調製した銅(I)錯体の構造・化学的特性・分子状酸素との反応性について系統的に検討を加え、一連のピリジン系三座配位子の銅(I)錯体と比較し、考察を加えた。その結果、用いる配位子のピリジン環の6位にメチル基を導入することや、ピリジン環とアミン窒素原子との間のアルキルリンカー長の長さを変えることにより銅(I)錯体の分子状酸素との反応性を精密に制御することを明らかにした。 四酸化オスミウムを用いたメタンガスの直接酸化 水溶液中・温和な条件下でメタンの直接酸化を行う遷移金属触媒の開発を目指し、四酸化オスミウムを用いてメタンの直接酸化反応について検討を加えた。その結果、8.7atmメタン存在下、NMRチューブ中、50℃で一日加熱することにより、CH_3OH、CH_2(OH)_2、HCHO、CO_2の生成を確認した。この結果、これまで難しいとされているメタンの直接酸化を水溶液中、温和な環境で達成したものであり、新規酸化触媒の開発に繋がるものとして期待される。
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Research Products
(4 results)