2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J06038
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西村 直美 東京農工大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA / イオン液体 / イオン伝導度 / フィルム |
Research Abstract |
今年度は、DNAをイオン液体化し、イオン伝導性マトリックスとして評価した。水にしか溶解しないと考えられていたDNAが水以外の溶媒にも溶解可能であることを明らかにした。さらに、近年溶媒としても注目されているイオン液体にも溶解可能であることを明らかにしたので、イオン液体を溶媒として用いたDNAのメチル化を行なった。まず、低分子モデル実験として塩基の直接メチル化を試みた。アルキルハライドと塩基をイオン液体中で混合、加熱するだけでは反応は進行しなかった。さらに、酸化銀を触媒として用いても、アデニンとシトシンのみをメチル化するに留まり、これらの収率もそれぞれ約50%と5%であった。そこで、メチル基は修飾できたが、オニウム塩化していないアデニンとシトシンを酸で処理したところ、全てオニウム塩化できた。これらのことから、核酸塩基のオニウム塩化には、アルキル基の修飾のみでは不十分であり、酸処理によるプロトン付加を併用することが必要であった。 DNAについても同様にイオン液体、DMSO、DMF中でメチル化を行った。反応時間、修飾本数ともにイオン液体中での反応が良好であることを明らかにした。イオン液体へDNAを溶解させるのに140℃で行なったので、イオン液体中のDNAは一本鎖で存在しているものと考えられ、このことが良好な合成結果を生んだものと考察された。しかし、バルクのイオン伝導度は低い値に留まった。これは低分子の結果から明らかなように、核酸塩基の中でメチル化するだけでイオン液体化できるのはアデニンの約50%とシトシンの5%である。メチル化したのみでは系内のイオンの占める割合が少ないために、高いイオン伝導度を得ることはできなかったと考察された。そこで、このDNAフィルムにエチルイミダゾリウムBF_4塩を20wt%添加したところ、3.91x10^<-5>S・cm^<-1>を示し、更に40wt%の添加では4.19x10^<-3>S・cm^<-1>という極めて高いイオン伝導度を示すDNAフィルムを得ることができた。
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Research Products
(1 results)