2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J06038
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西村 直美 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | DNA / イオン液体 / イオン伝導度 / フィルム |
Research Abstract |
本年度は、DNAの特徴の一つである秩序だった二重らせん構造を損なわずに、らせんに沿ったイオン移動を可能にする伝導経路の設計と目的イオンを移動させる系の設計の2つを試みた。具体的には、1位のアルキル鎖長が2〜12のイミダゾリウム塩を作成し、DNAのNaカチオンと交換した。得られた4種のDNAはメタノールなどの有機溶媒に可溶化でき、メタノール溶液をキャスト、風乾するだけでフレキシブルなフィルムになった。また、ラマン分光法からは、二重らせん構造を保っていることを確認した。しかしながらイオン伝導度はそれ程高い値ではなかったので、後からイオン液体である1-ethyl-3-methyl imidazolium BF_4を添加した。イオン液体添加量の上昇と共にイオン伝導度も上昇した。さらに、目的イオンを移動させる系の設計を目的として電位勾配下で移動しないzwitterionic liquid(ZIL)を添加した系を作成した。今回用いたZILは1-(1-ethyl-3-imidazolio)butane-3-sulfonate(EIm4S)である。Li-DNAにEIm4Sを20〜90wt%の割合で単純に添加した。全ての系で相分離の無いフィルムとして得られ、60wt%添加時にイオン伝導度が最高になることが明らかとなった。しかしながら室温では高い値が得られなかった。そこで、高いイオン伝導度を期待して、LiTFSIをLi-DNA/60wt%EIm4Sの系に少量添加すると、イオン伝導度は上昇した。EIm4Sに対して等モル添加時に最高のイオン伝導度である5.3x10^<-5>S/cmを50℃で得た。この時のLiカチオン輸率を測定したところ、0.56という高い値が得られた。以上、生体高分子であるDNAの特徴を上手く利用して、新規な電解質材料の作成に成功した。
|
Research Products
(2 results)