2003 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける外国人の地方参政権行使とEU市民意識の実態-ポルトガル移民の事例
Project/Area Number |
03J06257
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
北村 規子 (鈴木 規子) 立教大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | フランス / 国際移民 / 政治社会学 / 外国人地方参政権 / EU(ヨーロッパ連合) / 市民権 / ポルトガル |
Research Abstract |
フランスの2001年市町村選挙で在仏EU出身者の選挙参加の実態については、NPOによる調査結果がでているので基本的にそれを参考に研究を進めている。独自に公式データを得るため、EU構成14カ国の在仏大使館および領事館に次の質問項目を含む質問票を送った((1)同選挙に有権者登録をした国民の数、(2)同選挙からEU構成国出身者にもフランスでの地方参政権があるという情報提供を大使館がどのように行なったか)。6カ国から回答を得た。分析した結果、(1)についてはフランス内務省の管轄であること,(2)については国によって対応が異なることが判明した。そこで仏内務省へ直接(在日仏大使館にも照会を依頼したが)(1)について問い合わせたが、いまだに回答を得ていない。 NPOの調査では全体的にEU出身者の選挙登録者数は少ないことが分かっている。とくにポルトガル人は1割台で最も少なかった。その原因を明らかにするため、ポルトガル国籍で仏市議会員に当選した人に関する面接調査および資料分析を行なった。その結果、移民自身および出身国ポルトガルの政治文化の影響や、彼らの受入国(フランス)の選挙登録に関する情報提供への消極性などが関連しているという知見を得た。この内容は国際政治学会にて報告した。 ポルトガル出身者の政治意識や彼らの帰属意識について理解を深めるため、現在、在仏ポルトガル大使館およびポルトガル人市議と連絡をとり、面接調査や質問票調査の準備をしている。 小・中学校で近年強調されている「市民性教育」のなかにEU市民意識という考え方が含まれているかどうか、パリおよびナンシー市の小・中学校を実際に訪問して授業見学や校長や教員に面接調査を行い、さらにナンシーメッツの大学区視学官・大学区総長・研究者への面接調査を行った。その結果、たしかにヨーロッパ統合によってEUの影響は社会的に徐々にみられるようになっているが、「市民性とは何か」の考え方が国によって異なることため、学校での市民性教育には「EU市民意識」という要素は含まれていないが、今後その可能性はあるだろうという知見を得た。
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Research Products
(1 results)