2004 Fiscal Year Annual Research Report
多重ゼータ関数の特殊値間に存在する代数構造とその母関数の関数等式についての研究
Project/Area Number |
03J06259
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井原 健太郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多重ゼータ / アソシエーター |
Research Abstract |
1.多重ゼータ値が有理数体上生成する次数代数の構造に関して、特にその代数としての生成元が各次数にいくつ存在するか、さらにその代数に多重ゼータ値の深さから誘導されるフィルター構造を導入し、生成元がどのフィルター階層にいくつ属しているかを、考察した。金子-Zagier氏との共同研究の結果、勝手な深さnを固定した際、その深さの生成元の個数があるn変数多項式環の部分空間の次元で上から評価でき得ることが証明できた。更にその部分空間を含み、かつ対称群のある作用で消える空間を導入し、対称群の表現論を用いることでその空間の次元を具体的に決定した。これは多重ゼータ値の代数の生成元の個数の非自明な評価を与える結果である。 2.多重ゼータ値が有理数体上みたす緒関係式のクラスの間の関連性を調べるうえで、多重ゼータ値を2変数の非可換語と同一視し、関係式のクラス間の関連を2変数非可換冪級数代数上の線形オペレーターと解釈する手法を導入した。これに関連して、勝手なべき級数代数の生成元を固定し、その一方を0、他方を適当な斉次元に送る可換な導分の系列を定義した。更にその導分の任意の線形結合で表される導分の指数写像に関して対応する自己同型写像が生成元をどう送るかを決定した。この結果は多重ゼータ値を離れても、純代数的な応用が期待される。
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Research Products
(1 results)