2003 Fiscal Year Annual Research Report
反グローバリズムの論理:ブルデュー社会学理論のパスカル的再構成を通じて
Project/Area Number |
03J06273
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
冨田 和幸 立教大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 第三の道 / ギデンズ / ブルデュー |
Research Abstract |
申請課題における研究目的は、グローバリゼーションあるいはネオ・リベラリズムが進行し混迷状況にある我々のこれからの指針をブルデュー社会学理論の再構成によって提示しようとするところにある。 平成15年度においては、まず広くグローバリズム論の錯綜状況を把握・整理するために国内外を問わず様々な論者を検討した結果、(1)ブルデュー社会学理論とは主体/構造の乗り越えといった理論的視座の親近性という点、(2)それでありながら、ブルデューの反グローバリゼーションの姿勢とは一線を画し、グローバリゼーションの進展を受容しながら旧左派と新右派(ネオ・リベラリズム)を乗り越える「第三の道」を提示した点、以上の2点でイギリスの社会学者ギデンズに特に焦点を当てることとした。この両者を対照化させて吟味することは今日のグローバリゼーションをどう捉えるか、またそれへの処方箋の構想において理念型となるポイントを浮かびあがらせるからである。 具体的には、ギデンズが唱える「第三の道」を支える「担保を欠く批判理論」についてブルデュー的視角を比較対照に援用しつつ、「第三の道」の彼の構想提示において何故にそれが「批判理論」たりうるのか、つまり、現在のグローバリゼーションの進展に代表される現代社会に対して「より良い」指針として位置づけることが可能であるのか、それを発表予定の雑誌論文(「ギデンズにおける『担保を欠く批判理論』への一考察」)では検討している。 詳しくは、ギデンズ、ブルデュー両者の、A)社令に生きる行為者達の「知識能力knowledgeability」を積極的に認めるかどうか、B)その行為者達を分析する社会学者の役割観の違い、C)社会の様々な不平等構造によりセンシティヴであるかないか、といった3点を導きとしつつ、「担保を欠き」ながらも「批判理論」として提示されている「第三の道」という指針の不安定性を問うている。
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Research Products
(1 results)