2005 Fiscal Year Annual Research Report
反グローバリズムの論理:ブルデュー社会学理論のパスカル的再構成を通じて
Project/Area Number |
03J06273
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
冨田 和幸 立教大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ブルデュー / ギデンズ / グローバリゼーション / 左派 / 右派層 / 反省性 |
Research Abstract |
申請課題における研究目的は、グローバリゼーションあるいはネオ・リベラリズムが進行し混迷状況にある我々のこれからの指針をブルデュー社会学理論の再構成によって提示するところにある。 こと平成17年度においては、前年度の研究計画(※ブルデューとの理論的視座の親近性、また彼の反グローバリゼーションの姿勢とは一線を画す「第三の道」を提唱した点などから、敢えて対照性を浮かび上がらせるために社会学者ギデンズを取り上げたものの、それは「担保を欠く批判理論」といった抽象的に過ぎる点に焦点があてられていたため、より具体的な社会現象に対する両社会学者の見解を扱ったものを考察の対象とすべく、平成16年度の研究作業はあてられた)からの流れの消化に時間を割く必要性に迫られ、そもそものブルデュー社会学理論へのパスカル思想の影響を抽出していく作業はその明確なかたちの提示にまでは進まなかった。平成16年度の成果として2005年5月発表予定であった「『左翼的左翼』と『右派左派を超えて』-ブルデューとギデンズ」(庄司興吉編『グローバル化と社会理論・社会運動』所収論文として)の出版計画が諸般の事情で上手くいかなくなり、発表の場を他に求める必要が生じ、この原稿の改稿を迫られたためである。 そこで、もともとの原稿における、グローバリゼーションの進展する現代社会を前にしてのブルデュー、ギデンズ両者の見解をややクリアーに概観したのみという限界を払拭すべく、なにゆえにブルデューは従来の福祉国家のあり方の擁護を、他方のギデンズはそうした既存制度の改革の提唱に分岐していったか、(1)両社会学者の(社会における)行為者たちへの反省能力の設定の微妙な差異、(2)それと連動するかたちで導かれた行為者たちが現在さいなまれている「不確定性」の内実の差異、に改めて焦点を絞って考察を加えた。この改稿分は発表媒体より受理されるに至っている。
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Research Products
(1 results)