2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J06282
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
馬場 淳子 立教大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 古代文学 / 中世文学 / 王朝 / 物語 / 院政期 |
Research Abstract |
古代からの中世の過渡期にあたる院政期は、歴史の転換期であると同時に、物語史においても転換期を迎えたといえる。この時代に『源氏物語』が聖典化され、物語が改作されるようになり、『無名草子』のような物語評論書が書かれたことは、物語史を考える上で看過できない重要な問題である。「隠れ蓑」とは、透明人間のように姿を隠すことのできる空想上の宝物であるが、この<隠れ蓑>モチーフは『無名草子』の物語批評において重く扱われていることは注目に価する。そこで<隠れ蓑>をめぐる物語史を展望する前提として、「鬼と隠れ蓑」と題した論文で、隠形という鬼の属性や、鬼と蓑笠との関係、そして鬼の持つ宝物は隠れ蓑・隠れ笠・打出の小槌の三種として広く世間に浸透していったことを論証した。また来年度五月の中世文学会春季大会の口頭発表において、「神仏の声を聞く-<隠れ蓑>から<ささやき竹>へ-」という題目で、<隠れ蓑>の隠形モチーフを導入した物語として、『貝合』や『ささやき竹』について検討する予定である。 なお王朝物語研究の最先端であり、後の物語に大きな影響を与えた『源氏物語』の注釈書を手がけることができたのは、王朝物語研究の規範を身に付ける意味で得難い経験である、また、「鴛鴦」「阿弥陀仏」「夢枕」の三本の補助論文を執筆することで、物語内部の世界をより深く学ぶことができた。
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Research Products
(2 results)