2004 Fiscal Year Annual Research Report
縞状トゥファ堆積物を用いた高解像度の陸上古気候変動の復元
Project/Area Number |
03J06356
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松岡 淳 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 縞状トゥファ / 陸成炭酸塩 / 南西諸島 / 気候変動 |
Research Abstract |
前年度の調査で明らかにした南西諸島のトゥファのうち,特に堆積物の発達規模が大きかった沖縄本島・沖永良部島・徳之島・喜界島の5つのトゥファについて継続して水質・堆積物の調査を行った.湧出時の水質は亜熱帯気候を反映し,年変化が小さく明瞭な季節性がない事が明らかになった.湧出後の水質は,二酸化炭素の脱ガスとカルサイト(トゥファ)の沈殿に伴って変化しており,温帯トゥファと同じ変化様式であることが明らかになった.また,沢の同一地点における年変化は殆ど認められないという点で,温帯のトゥファと決定的な違いがあることが明らかになった. 従来,1)熱帯・亜熱帯域では,トゥファ堆積物に明瞭な縞状構造が発達しない,2)カルサイトの沈殿速度の変変化によってトゥファの縞状構造が形成される,と考えられていた.研究結果はこれらを支持するため,南西諸島のトゥファ堆積物には縞状構造が認められないと思われる.しかし実際には,明瞭な縞状構造が形成されており,従来の考え方では矛盾が生じる事が明らかになった.新たな縞状構造の形成要因として降雨量が縞状構造の形成に与える影響について考察を行っている. 本年度は大雨をもたらす台風が調査地域に多数接近し,トゥファ堆積物にイベントとして記録される可能性が高いため,新たに堆積物を採集した.乾燥させX線CTスキャンを用いて非破壊で内部構造を観察し,昨年度採取した堆積物とあわせて化学成分分析を行い,気候条件と堆積物との関数化について引き続き考察を行っている.
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Research Products
(1 results)