2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子学的手法を用いたドナー細胞の選択によるクローンマウス生産の効率化
Project/Area Number |
03J06379
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小野 由紀子 東京農業大学, 応用生物科学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | クローンマウス / 胎盤 / 核移植 / 受精卵クローン / 初期胚 / マイクロアレイ解析 / シングルセルPCR / 内部細胞塊 |
Research Abstract |
受精卵の発生過程においてどの過程で全能性の可逆性が失われるのか、また、体細胞クローンマウスは特徴的な胎盤の形態的異常が生じるが、この原因となる遺伝子の変化が初期発生のどのステージで生じるのかを調べるため、着床前胚(4細胞、8細胞、桑実胚期胚、胚盤胞期胚)とEmbryonic Stem(胚性幹)細胞をドナー核としてクローンを構築し、発生率と胎盤組織の異常性について検討した。その結果、胚盤胞以降の細胞をドナーとした場合に成功率が著しく低下することが明らかになった(3? 6%)。このことから、胚盤胞以降に生じる遺伝子の変化がクローンマウスの発生を妨げる原因となっていることが示唆された。胎盤では4細胞期由来のクローンですでにtrophoblastic giant cellの巨大化が認められ、ICMクローンの一部の個体では体細胞クローンに典型的な重量増加とspongiotrophoblast layerの形態学的異常が認められた。このことから、体細胞クローンのみならず、受精卵クローンでも胚体外組織の異常が生じており、胚盤胞由来のクローンでより重度になっていることが明らかになった。 現在、マイクロアレイは遺伝子発現を解析するツールとして多用されているが、従来のマイクロアレイ解析には1000細胞程度以上のRNA量が必要とされる。一方で、極少数の細胞が決定的な役割を果たす生命現象は数多く見つかっており、これらの細胞における定量的な遺伝子発現解析は重要な意味を持つ。我々は、細胞から抽出した極微少量の転写産物(mRNA)を、高い定量性を維持したまま高効率に増幅するPCR法を開発し、単一細胞レベルでのマイクロアレイ解析を可能にした。また、この方法を用いて、マウス胞胚期の内部細胞塊(inner cell mass ; ICM)における遺伝子発現を単一細胞レベルで解析し、ICMには2つの異なる細胞集団が存在するらしいことを突き止めた。
|
Research Products
(1 results)