2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J06384
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
久住 真也 国文学研究資料館, アーカイブズ研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 明治維新 / 幕末政治 / 徳川将軍 / 幕府 / 長州征伐 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としてまず最初に挙げたいのは、この3年間にわたる研究の集大成である著書『長州戦争と徳川将軍-幕末期畿内の政治空間-』(岩田書院)を10月に刊行したことである。本年度前半は、本書刊行のための最終的な詰めを行う作業に集中した。すなわち、史料や文献の最終確認と補填作業を行うべく、東京都立大学所蔵の「水野家文書」、東京大学史料編纂所所蔵の「宇和島伊達家史料」写真帳、国立公文書館内閣文庫所蔵の「江戸城多聞櫓文書」などの調査を行った。また、中央大学図書館所蔵の「大日本維新史料稿本」マイクロフィルムからのデータのカード作成、同大学図書館での関連文献の調査も行った。その結果、9月刊行という予定が若干遅れたものの、1ヶ月遅れで予定通り著書を刊行することができたのは、大きな成果であった。 次に、7月に中央大学日本史学研究室主催のシンポジウム「幕末維新の天皇と将軍」において、「幕末の徳川将軍と畿内」というタイトルの研究報告を行った。シンポジウムに参加して、幕末政治史を研究テーマとする外国の研究者と討論することができ、視野を広げることができた。また、シンポジウムを通じ、文久期以前の安政期の朝廷と幕府、諸藩の関係についての認識が必要であることを痛感した。 上記の課題、安政期の政治体制について研究を今後進めるため、9月以降、前年度調査を行った史料機関などでの継続調査を行った。すなわち、9月には、名古屋市鶴舞中央図書館、同市蓬左文庫において尾張徳川家関係の史料を、茨城県立図書館では水戸藩家老久木直海家の史料を、10月には愛媛県宇和島市の財団法人伊達文化保存会において宇和島伊達家文書、11月には茨城大学図書館で「河内八郎文庫」と、それぞれにおいて安政期の一橋派大名の政治的動向に関する史料を悉皆調査した。これらの成果はまだ形にはしていないが、今後成果としてまとめて行くことで、文久期から慶応期にいたる政治体制問題と合わせ、幕末の政治体制の問題として、大きくひとつにまとめて行くことを目指したいと考える。
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Research Products
(3 results)