2005 Fiscal Year Annual Research Report
被験者実験にもとづく経済主体の意志決定と協調行動に関する研究
Project/Area Number |
03J06452
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
井寄 幸平 京都産業大学, 経済学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 被験者実験 / 協調行動 / 経済主体 / ネットワーク型囚人のジレンマ / マーケットマイクロストラクチャー理論 / ベルトラン競争 / 計算機実験 / 実験経済学 |
Research Abstract |
本年度はこれまでに構築したネットワーク型囚人のジレンマモデル、およびマーケットマイクロストラクチャー理論に基づく企業競争モデルをさらに拡張し、様々な条件下での被験者実験の実施および計算機実験の拡張、分散市場モデルの構築に向けた分析などをおこなった。 まずネットワーク型囚人のジレンマモデルにおいて、従来非公開としてきた他者(対戦相手以外)の行動情報をグループの全メンバーに公開する方式に拡張し、被験者実験をおこなった。これにより、情報非公開の場合に比べて協力率が飛躍的に上昇することが確認された。全ての実験条件のうち、1組を除いて全ての被験者が長期的な完全協力状態に収束し、従来の情報非公開の場合と比べて倍以上の協力率が得られた。これは他者に自分の行動情報が公開されることによる心理的な側面以外に、他のグループの行動を模倣することによってより高い利得を得る戦略を学習するためでもあると考えられる。 マーケットマイクロストラクチャー理論に基づく企業競争モデルでは、ステップ型の需要・供給曲線と線形の需要・供給曲線を持つ市場の2種類について企業競争の被験者実験をおこない、従来のベルトラン競争モデルよりも価格が競争均衡付近へ収束しやすいことを確認した。ステップ型の需要・供給曲線では競争均衡手前の局所均衡に収束する場合も観察され、単純なベルトラン競争モデルに価格下限を設けた場合の実験結果に準ずるものとなった。 以上の結果をもとに分散市場での経済主体の意志決定と協調行動の形成過程についても被験者実験と計算機実験による分析が有効となると考える。
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Research Products
(2 results)