2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J06468
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 志都 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ストレンジネス / 弱い相互作用 / ハイパー核 |
Research Abstract |
p+n→p+Λ過程はストレンジネスを含むΛハイペロンを弱相互作用で生成する過程ある。この過程を研究することにより核子とハイペロン間の弱相互作用について情報を得ることが出来る。実験では陽子ビームをターゲットに照射し、p+n→p+Λ反応によるΛの崩壊粒子pとπ^-を検出する。反応の閾値近傍で実験することにより他の過程でのΛの生成はなく、またΛはターゲットから平均数cm飛んだ後崩壊する、という特徴的な事象となるため、崩壊粒子の飛跡を測定しΛの崩壊点を求めることにより反応を同定できる。反応は弱相互作用で引きおこされるため断面積は極端に小さく(10^<-39>〜10^<-40>cm^2)、実験を実現するためにはバックグラウンドによる係数率を抑えるとともにΛの崩壊事象を効率的に選びトリガーレートを抑える必要がある。またターゲットにおける強い相互相互作用によるπ^-をともなう事象をΛの崩壊事象と区別することが求められる。検出装置はこれらの条件を満たすように設計されている。検出器の係数率を抑えるために重金属製のコリメーターを用いる。また、トリガーカウンターはバックグラウンドに少ないと予想されるπ^-をソレノイド磁場中での電荷による曲がる方向の違いにより選ぶようデザインされている。ターゲットにおける強い相互作用によるπ^-をともなう事象をΛの崩壊事象と区別するために崩壊点をViertex detectorをもちいて精度よく測定する。これまでシュミレーションをもちいて検出装置の設計を行ない、専用のビームラインおよび検出装置の建設を進めてきた。建設された検出装置の性能を実際に陽子ビームを用いた実験で調べた。今年度行なわれた実験結果より、トリガーカウンターによりπ^-が効率良く検出できることを確認し、またトリガーレートはπ^-を選ばないときにくらべ約1/250に減らすことができた。またコリメーターにより、バックグラウンドによる係数率が約1/20に減ることを確認した。これらの実験は断面積を求める実験の約1/1000のスケールで行なわれている。1000倍のスケールの実験にやきなおした際には、トリガーレートはほぼ必要な条件を満たす見通しがたった。係数率に関してはさらに一桁の改善が必要であり、バックグラウンドの起源や検出効率の改善などさらなる工夫が必要である。
|