2003 Fiscal Year Annual Research Report
生殖腺の形成に不可欠な転写因子の翻訳後修飾による活性調節機構の解析
Project/Area Number |
03J06584
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
小松 朋子 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 転写因子 / 転写調節 / 翻訳後修飾 / Ad4BP / SF-1 / SUMO化 |
Research Abstract |
Ad4BP/SF-1は生殖腺と副腎の形成に必須な核内受容体型転写因子である。Ad4BP/SF-1の相互作用因子としてSUMO化修飾に重要な因子が同定されたことから、Ad4BP/SF-1のSUMO化修飾による活性調節機構について解析した。培養細胞内およびin vivoにおいてAd4BP/SF-1はSUMO化されることを明らかにした。一方、ある種の転写因子には協調的な転写活性化を抑制するsynergy control (SC) motifと呼ばれる領域が存在する。SC motifをもつ多くの転写因子でその領域内のリジン残基がSUMO化されること、またこのリジン残基が協調的な転写活性化の抑制に重要であることが報告されている。Ad4BP/SF-1にはSUMO化を受ける2つのリジン残基が存在し、1つはSC motif内に存在した。SC motif内のリジン残基をアルギニン残基に置換したSUMO化を受けない変異体では協調的な転写活性が増加したことから、Ad4BP/SF-1の協調的な転写活性化がSC motif内のSUMO化を介して抑制される可能性が示唆された。さらに、Ad4BP/SF-1と協調的な転写活性化を行うSox9にもSC motifが存在し、SC motif内のリジン残基でSUMO化されることが確認された。Ad4BP/SF-1とSox9両者のSUMO化を受けない変異体では協調的な転写活性の増加を認めたことから、異種の転写因子間での協調的な転写融化にもSC motif内のSUMO化を介した抑制メカニズムの存在が示唆された。この結果は、SC motifおよびSUMO化を介した異種の転写因子間での制御を示した初めての例である。SC motifは複数の転写因子で保存された領域であり、転職の一般的なメカニズムとして新たな知見を得たものと考えられる。
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