2003 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアにおける哲学の発展とG・G・シュペートの言語哲学
Project/Area Number |
03J06611
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木部 敬 千葉大学, 外国語センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ロシア思想史 / ロシア大学哲学 / G.G.シュペート / ソ連科学アカデミー哲学研究所 / D.ヒューム |
Research Abstract |
本年度においては、次の二つの研究が行われる予定であった。 1)19世紀半ばからロシア革命までのロシアにおける大学哲学の研究。 2)革命後におけるG.G.シュペートの活動の研究。 前者に関しては、ロシアの大学哲学史の全体を概観することから研究を開始した。この研究の成果は、昨年9月に軽井沢で行われた「ロシア思想史研究会」の研究大会で発表された。そこでは、18世紀に端を発するロシアの大学哲学が、これにやや先立ち誕生したドイツの近代的大学哲学の模倣であることが指摘され、そうした観点から、ロシアの大学哲学史が、ドイツのそれとの対比において略述された。しかしながら、資料的裏づけの脆弱さを指摘する声が高く、そこで、この不備を補うために、10月半ばそこモスクワで資料収集を行った。その際、公刊されたばかりのV.F.プスタルナコフ著『ロシアにおける大学哲学』を入手した。これは当該テーマに関する初の本格的な研究書であり、これによって資料面での困難は大いに軽減された。以後、現在に至るまで、この著作をはじめとする入手資料を用いながら、間題の時代に焦点を合わせた研究を継続している。 続いて、後者の研究であるが、これの基本的な部分は、日本国内で収集した資料によって実行出来た。帝政ロシアの大学哲学は革命によって終わるが、これに代わって、「科学的哲学研究所」なる機関が設立されている。(「ソ連科学アカデミー哲学研究所」の前身。)シュペートは、革命勢力の一部に支持されながら、同研究所の初代所長を務めている。ソ連のアカデミックな哲学研究は、まずはシュペートの指導下に始まったのである。この件については、上記研究大会の報告の中で言及した。 両研究の成果は、来年度以降発表される諸論文において、事実背景として活用される。 また、関連する研究として、シュペートのヒューム評価に関する論文を発表した(裏面参照)。
|
Research Products
(1 results)