2005 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアにおける哲学の発展とG・G・シュペートの言語哲学
Project/Area Number |
03J06611
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木部 敬 千葉大学, 国際教育開発センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ロシア思想史 / ロシア哲学 / G.G.シュペート(G.G.シペート) / ソボールノスチ / 言語哲学 / ディルタイ / フッサール / マルティ |
Research Abstract |
第一年度においては、次の二つの研究が行われた。 A)19世紀半ばからロシア革命までの大学哲学の研究。 B)革命後におけるG.G.シュペートの活動の研究。 第二年度は、上のA)を受け、次の研究を行った。 a)P.D.ユルケーヴィチ、V.S.ソロヴィヨフ、L.M.ロパーチン、S.N.トルベツコイの認識論(意識論)の研究(これらは19世紀半ばから革命までの大学哲学の代表者であり、シュペートが自らの先駆者とみなしている哲学者である)。 第三年度である本年度においては、上のB)を受け、以下の研究を行った。 b)革命後、1920年代に展開されたシュペート言語哲学の研究。 シュペートの思想には或る顕著な特徴が認められる。それはカントとの対決である。彼はカントの反対者、ハーマン、ヤコービ、ヘルダーを支持し、彼らの系譜の上でヘーゲルを理解する。また、ヘーゲル以後の新カント派の隆盛に対しては心理学者たち、ブレンターノ、シュトゥンプ、ディルタイ、ジェームズ等を評価する。彼が狙うのは、(1)現象主義に抗して実在論を打ち出すこと、(2)そのために意識を我-対象としてではなく、社会的・歴史的なもの(「ソボールノスチ」)として捉え直すことである。 20年代以前の主要著作は、これら二つの一方ないし両方を目的としている。「心理学の一つの道、それはどこへ通じるのか」(12年):(1)と(2)、『現象と意味』(フッサール『イデーンI』論)(14年):(1)、『論理学の問題としての歴史』第1巻(16年):(2)、「民族心理学の対象と課題」(17-18年):(2)など。 シュペートは10年代に練り上げた構想に基づき、20年代の言語哲学を展開した。この際、彼は特にブレンターノ学派の諸説(フッサール『論理学研究』、マルティ「言語哲学」、マイノング「対象論」等)を摂取しつつ、自身の説を精緻化している。現在、この観点から研究を続行中である。
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Research Products
(1 results)