2003 Fiscal Year Annual Research Report
神戸在留ドイツ人社会におけるナチズムの成立とその浸透-上海との比較を中心に
Project/Area Number |
03J06762
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中村 綾乃 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科・日本学術振興会特別研究員(DC2)
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Keywords | ナチズム / 日独関係 / GHQ / ドイツ人 |
Research Abstract |
平成15年度科学研究費補助金では,米軍を主体とする連合国最高司令官総司令部(以下GHQと略す)の指揮下で行われた「ナチズムの精算」を検証した。ドイツ本国でのヒトラー政権成立から約半年後の1933年6月,日本に在住するドイツ人により,ナチ党組織が結成され,「ナチ化」が推進された経緯があった。このナチ党主体の指導体制と党組織及び党関連団体の活動ゆえに,占領軍上陸後にナチ党組織の幹部や政府関係者の逮捕・抑留,事業停止,資産凍結,そして民間人の本国への送還が実施された。この本国送還に帰結したGHQの対ドイツ人政策は,ナチズムを清算することを目的として着手されたのである。 GHQ関連の資料の発掘,復刻及び翻訳は近年著しく進んでおり,史料自体も膨大である。外国人の引揚げ・復員,資産管理などの政策についても総合的・多角的研究がなされている。ただ,枢軸国側であったドイツ人の戦時中における政治活動や社会活動その戦後追及についての言及は少ない。また,戦後ドイツの「非ナチ化」についての研究では,そのフィールドがドイツ及びその占領地域に限定されがちである。これらのことを踏まえ,本研究では,GHQの日本占領史研究とナチズム研究の空白を埋めることを試み,新たな史料と視点を提供することとなった。 主な史料として,国立国会図書館憲政資料室所蔵のGHQ関連文書,ドイツ文書館の旧アメリカ・ドキュメントセンター所蔵の外国ナチ党組織及びナチ党員の記録を用いた。本研究のは外部査読を経て『人間文化論叢』第6巻に掲載が決定し,現在印刷中である。その他,寄稿依頼を受けている「日本におけるドイツ人社会とナチズム」(『日独関係史』全3巻東京大学出版会より2005年3月刊行予定)に、その成果の一部を加える予定である。
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Research Products
(2 results)