2004 Fiscal Year Annual Research Report
イトマキヒトデ卵減数分裂再開時における細胞内pH上昇の制御機構とその意義
Project/Area Number |
03J06785
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
原田 香織 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | meiosis / methaphase arrest / Na^+ / H^+ exchanger / intracellular pH / cell cycle / starfish / signal transduction |
Research Abstract |
私はこれまでに、1、ヒトデ卵母細胞は卵巣内において第一減数分裂中期で停止すること、2、この停止はNa^+/H^+ exchanger(NHE)の働きによる細胞内pH(pHi)上昇によって解除されること、を明らかにしてきた。 本研究では、ヒトデ卵における第一減数分裂中期での停止機構、及びその解除に関わるpHi上昇の制御機構を明らかにするため、まずヒトデNHE遺伝子全長のクローニングを試みた。RT-PCR法を用いて遺伝子断片を増幅し、得られた配列をもとに、ヒトデcDNAライブラリーから目的の配列を含んだプラスミドをスクリーニングし、さらに5'-RACE法を行った結果、ヒトデNHE遺伝子全長の配列取得に成功した。次に、NHE C末のリン酸化及び他の分子との相互作用がNHE活性化に関与することを確かめるため、得られた遺伝子配列をもとに大腸菌を用いてリコンビナントNHE(C末)を作成し、卵母細胞にマイクロインジェクションし、内在性NHEと競合阻害させた。その結果、1-methyladenine(1-MA)によるpHi上昇を阻害した。このことから、ヒトデNHEが減数分裂再開時のpHi上昇に関与することが、強く示唆された。現在、さらなるNHE活性制御機構解明のため、抗NHE抗体を作製中である。 また、AktによるNHEリン酸化及び活性化の可能性を調べるため、AktのPDK1基質部位のペプチド配列を卵母細胞にマイクロインジェクションし、内在性のAktと競合阻害させた。その結果、1-MAによるpHi上昇が阻害されたので、Aktの関与が示唆された。さらに,MosのインジェクションによってもpHiが上昇したことから、放卵時のpHi上昇にはMAPKが関与することも示唆された。
|