2003 Fiscal Year Annual Research Report
コケイン症候群A群蛋白質の機能解析による「転写と共役したDNA修復」機構の解明
Project/Area Number |
03J06792
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神内 伸也 東北大学, 加齢医学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | DNA修復 / コケイン症候群 / 転写と共役したDNA修復 / 核マトリックス |
Research Abstract |
年次計画に基づき、変異CSA蛋白質を発現する形質転換CS-A細胞を作製し、紫外線感受性、核マトリックス移行の有無、紫外線照射後のRNA合成の回復を調査した。 今回用いた変異CSA蛋白質は、コケイン症候群(CS)患者で同定された欠失をもつ5種および、C末端欠失が2種、N末端欠失が2種の計9種類を用いた。これらの細胞を用いて紫外線感受性を調べた。CS患者で同定された欠失をもつ変異CSA蛋白質を発現させた細胞では全ての細胞でCS-A細胞と同程度の感受性を示した。C末端欠失では、30アミノ酸を欠失させた変異CSA蛋白質を発現させた細胞ではCS-A細胞と同程度の感受性であったが、10アミノ酸を欠失させた変異CSA蛋白質を発現させた細胞では正常細胞の約50%の紫外線抵抗性が見られた。N末端欠失では、6アミノ酸および、3アミノ酸を欠失した変異CSA蛋白質を発現させた細胞はCS-A細胞と同程度の感受性であった。次に、紫外線照射した細胞で生じるCSA蛋白質の核マトリックス移行を調べた。CS患者で同定された欠失をもつ全ての変異CSA蛋白質、C末端10アミノ酸および、N末端6アミノ酸を欠失した変異CSA蛋白質を発現させた細胞では変異CSA蛋白質の核マトリックス移行が認められなかった。一方、C末端30アミノ酸およびN末端3アミノ酸を欠失した変異CSA蛋白質を発現させた細胞では変異CSA蛋白質の移行が認められた。最後に「転写と共役したDNA修復」が欠損している細胞で見られる紫外線照射後のRNA合成の回復の抑制を調べた。その結果、N末端3アミノ酸を欠失した変異CSA蛋白質を発現させた細胞では若干の回復が認められたが、他の細胞では回復が認められなかった。 これらの結果は、CSA蛋白質はその分子内の蛋白質複合体形成に関与するWD40リピート構造が重要であり、その構造異常が機能異常につながっていることを示唆している。
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