2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J06796
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
太田 秀春 東北大学, 東北アジア研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日朝関係史 / 日朝交流史 / 城郭 / 倭城 / 築城技術 / 文禄・慶長の役 / 文化交流 / 異文化認識 |
Research Abstract |
本研究は、文禄・慶長の役の際に日本軍が朝鮮半島に築いた城郭、いわゆる倭城を中心として日朝城郭史、日朝関係史について考察するものである。城郭が「城郭」として本来の機能を維持していた中・近世においては、同役を契機とした城郭技術の交流や城郭認識について考察し、また近代においては城郭という「古跡」に対する諸政策の検討を通して日本の植民地支配を考察するものである。このような本研究の目的にしたがって、本年度は文禄・慶長の役を前後とする時期の城郭を中心に、史料の収集とその分析をおこなった。主な成果は次の通りである。 1.前年に引き続き、日本や朝鮮半島における主要な城郭について現地調査をおこなった。その結果、文献史料で導き出していた仮説を、現地の遺構で確認することができた。特に、築城技術の伝播については、朝鮮側の文献史料から、文禄・慶長の役という戦乱の中においても、技術者の「交流」のようなものが存在していたことを明らかにした。これらの新たに確認した知見については、日韓の研究者が参加した国際シンポジウムにおいて口頭発表をおこなっている。 2.近代日本における城郭認識とその扱いについて、廃城の過程と関連史料から当時の城郭観について考察した。また、あわせて、廃城への過程で起こった地域住民の対立の様相から、明治初年段階における地域社会が抱えていた諸問題の様子を浮き彫りにした。 3.これまで発表してきた研究の成果、および未発表の研究成果については、系統立てて書籍としてまとめ出版する予定である。
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Research Products
(2 results)