2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J06825
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 隆之 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 加賀 / 白山 / 一向一揆 / 本願寺 / 王孫 / 惣村 / 統治権 / 国民主権 |
Research Abstract |
加賀白山麓山内の一向一揆 加賀一向一揆体制下において、私権を追求するために集まり、時々の都合で連合する地域権益保持集団である「組々」(村々連合)が、どのようにして私権を抑制し、一国の公権を担う郡を支えられる集団となったのかを白山麓山内地域(本願寺から郡並に扱われた地域)を事例として検討した。「組々」の内、地域権益-山内地域の場合、白山禅頂社殿造営権(杣取権)-の相論に中立的な地理条件を有する組(親本願寺方の組々)に注目し、この組が本願寺と密接な関係を築きながら、相論の仲裁者に転化し、郡規模の地域の組々を統合していく過程を明らかにした。 王孫から国民へ 村の住民が自らを王孫(帝の子孫)と位置づける意識=王孫意識には、戦国時代の近江国堅田本福寺の蔵する二つの著作(『本福寺由来記』と『本福寺跡書』)によると、侍としての王孫意識から百姓としてのそれへの変遷が見られる。本研究では、これら二つの段階の王孫意識のそれぞれの特徴と変遷について検討。前者を、村の住民が戦国時代の国家的社会集団・惣村における統治行為を正当化する主張(具体的には、住民の祖先が敗者の王であるという由緒によって主張)として、後者を、彼らが統治権を保持しながら統治行為を為政者に委任する主張として捉えた。そして、それぞれの主張に、国民の統治権の基層と、かかる統治権を前提として生まれた、国民の統治行為を委任する論理の基層、すなわち日本的な国民主権の基層を見出した。
|
Research Products
(2 results)