2003 Fiscal Year Annual Research Report
プローブ顕微鏡による次世代超高密度メモリ用強誘電体薄膜の配向と分極に関する研究
Project/Area Number |
03J06877
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松浦 かおり 東北大学, 金属材料研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 強誘電体 / 二チタン酸バリウム / 非線形誘電率顕微鏡 / 分極分布構造 |
Research Abstract |
BaTi_2O_5(BT2)のキュリー点は約750Kで、空間群C2であり、単結晶BT2は(020)面に垂直な方向に強誘電性を持つ。これまで我々は、BT2の結晶構造や強誘電性の異方性について報告してきた。しかし、BT2の強誘電ドメイン構造については知られていない。ドメイン構造を観察する方法として、走査型非線形誘電率顕微鏡がある。この方法では、誘電体物質の3次の誘電率を測定することにより、ドメイン構造を観察することが出来る。そこで本研究では、FZ法により単結晶BT2を作製し、走査型非線形誘電率顕微鏡により単結晶BT2の強誘電ドメインを観察した。 BaCO_3、TiO_2粉末をモル比で1:2の割合に混合し、混合粉末を直径10mmの棒状に成型、焼結した。得られた焼結体を用いて、キセノンランプを加熱源とするFZ法により、BaTi_2O_5単結晶を作製した。XRDにより構造を同定、強誘電体テスターにより-40〜+40kV/cmでヒステリシスを測定した。走査型非線形誘電率顕微鏡を用い、印加電圧20Vで強誘電ドメインを観察した。 BT2は(020)面に垂直な方向に強誘電性を示したが、-40〜+40kV/cmの範囲では飽和しなかった。また、(200)面および(002)面に垂直な方向では強誘電性を示さなかった。試料の分極分布は白〜黒のコントラストが得られた。BT2においては、+bと-bの境界では信号強度が0の部分はほとんどなく、この領域では180度b-bドメインであった。(002)面に垂直な方向では信号強度が表面全てにおいて0に近い値であった。これらより、BT2はb軸方向にのみ分極を起こすととがわかった。
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