2003 Fiscal Year Annual Research Report
弦理論及び余剰次元模型をもちいたクォーク・レプトン世代構造の解明
Project/Area Number |
03J06901
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野口 達也 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 素粒子理論 / 標準模型 / 弦理論 / ディリクレ膜 / クォーク・レプトン質量 / 小林・益川混合行列 |
Research Abstract |
近年、多くの研究者が、ディリクレ膜-弦理論が含む高次元オブジェクト-の性質を利用した標準模型の導出を試みている。特に、ディリクレ膜の交差からクォークやレプトンを実現する試みがある(交差膜世界模型)。Ibanezらはやそのひとつとして、IIB Orientifold模型と呼ばれる一連のモデルを提案した。このモデルの最大の特徴のひとつは、内部空間中のディリクレ膜の配置を与えれば、クォークやレプトンの質量を計算することができることである。わたしは、この模型にもとづき、クォーク質量および混合行列の計算をおこなった。湯川結合定数の計算の方法について幾つかの処方がある。私はその処方の一つに従って湯川結合行列の計算をおこなった。ディリクレ膜の配置を仮定し、どのような配置の際にどういったタイプのクォーク質量と混合行列が得られるかを調べた。その結果、ある種のパラメーターを選んだときに限り、観測されるクォーク質量や混合行列の特徴が再現されることがわかった。これは、クォークの質量階層性を考えると非自明な結果であると考えられる。これらの計算をおこなうにあたり、ディリクレ膜の配置を仮定してきたが、最終的に、配置は動力学的に決定されるべきものである。この安定性の機構を解明するという観点から、わたしは弦理論のフラックスコンパクト化に着目している。現在、この安定性問題と湯川結合定数の計算方法について考察をおこなっている。また平成15年度本奨励費によって参加した国際会議String 2003(京都国際会議場)において、数人の研究者が交差膜世界模型に関する報告をおこなった。特に、結合定数の計算をめぐる議論が多く、大変参考になった。
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