2003 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母SGS1のDNA複製・修復・組換えにおける機能の遺伝学および生化学的解析
Project/Area Number |
03J06950
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇井 彩子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | RecQヘリカーゼファミリー / Sgs1 / Top3 / 二本鎖切断修復 / DNA修復 / DNA組み換え |
Research Abstract |
RecQヘリカーゼファミリー遺伝子は、人ではブルーム症候群原因遺伝子、ウエルナー症候群原因遺伝子、ロスモンド・トムソン症候群を含めて五つ存在すると考えられているが、出芽酵母ではSGS1のみが存在する。本研究では出芽酵母Sgs1の機能の解析という点から、これら症候群の発祥機構に新たな知見が得られることを目的としている。近年、出芽酵母のSgs1がDSB (double strand break;二重鎖切断)の形成過程に関与している可能性か示唆されてきている。そこで、Sgs1がDSBの形成過程に関与するのか検討するために、パルスフィールド電気泳動を用いて、Sgs1の変異株とDSBの修復に関与する遺伝子の変異株における、PSBの形成過程とその修復過程を観察した。この解析から、DNAが傷害を受けた際には、Sgs1がDSBの形成過程ではなく、DSBの修復の過程に関与することが明らかになった。次にSgs1かDSBの修復に関与する遺伝子とどのような関係になるのか遺伝学的に検討した結果、Sgs1がDSBの修復経路の中で相同組換え経路で機能していることを明らかにした。また、組換え頻度を測定できる系を用いることにより、Sgs1が組換えに必要であること、さらにSgs1と組換え因子との関係を明らかにした。さらに、相同組換え経路におけるSgs1の機能を検討するために、Sgs1のヘリカーゼ活性と、Sgs1と遺伝学的、生化学的に相互作用することが知られているTop3との相互作用が、DNA修復経路に必要であるか検討した。その結果、修復経路の中で、Sgs1のヘリカーゼ活性と、Sgs1とTop3との相互作用という二つの機能が重要であり、またこの二つの機能はDNA修復経路の中で使い分けられていることが明らかになった。以上の解析から得られた結果をもとに、現在、生化学解析により、Sgs1、Top3と相同組換えに関与する遺伝子の関係をより詳細に検討している。免疫沈降、CHIP assayを行うのに必要な酵母細胞株の構築を行い、現在、免疫沈降を行っているところである。
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