2005 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系における歯周病関連細菌のプロテアーゼを介したエスケープ機構
Project/Area Number |
03J06967
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
多田 浩之 秋田大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | MDP / Nucleotide-binding oligomerization domain / Toll-like receptor / Dendritic cell / Interleukin-12 / Th1 |
Research Abstract |
ペプチドグリカン(PGN)は歯周病関連細菌であるPorphyromonas gingivalisを含むほとんどの細菌の細胞壁の骨格をなしている。完全フロイントアジュバントは細胞性免疫を誘導し、PGNの画分であるムラミルジペプチド(MDP)がそのアジュバント活性を担う最小有効構造であることが知られている。最近、MDPおよびデスムラミルペプチド(DMP)のレセプターは、leucine-rich repeatsを有する細胞内レセプターであるNucleotide-binding oligomerization domain(Nod)2およびNod1であることが明らかにされた。我々は、ヒト単球由来樹状細胞(DC)培養系において、Nod1リガンド(合成ペプチドFK156とFK565)およびNod2リガンド(MDP)とToll-like receptor(TLR)3リガンド(poly I : C),TLR4リガンド(LPSと合成lipid A)およびTLR9リガンド(CpG DNA)で共刺激すると、DCからのinterleukin(IL)-12とinterferon(IFN)-γの生産が相乗的に亢進することを見出した。MDPおよびFK565とTLR2リガンド(合成リポペプチドPam_3CSSNA)で共刺激したときにDCから生産されるIL-12とIFN-γは、それぞれ単独での刺激と比較して相乗的な作用はみられなかった。さらに、DCが発現する補助刺激分子のCD40,CD80およびCD86と、活性化分子のCD83にもNodリガンドとTLRリガンドによる発現の亢進はみられなかった。MDPとlipid Aを共に刺激したときのDCの培養上清でT細胞を刺激すると、IL-12依存的にIFN-γが生産されることを見出した。これらの結果から、DCが発現するTLR3,4および9とNod1およびNod2を介した刺激は、相乗的なIL-12の生産を誘導してTh1応答を亢進させることが示唆された。歯周病は混合感染症であり、口腔内ではTLRとNodが連携して自然免疫応答を効率的に誘導していると捉えられる。
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