2004 Fiscal Year Annual Research Report
遍歴電子メタ磁性鉄系化合物の新規高性能機能性材料への応用と基礎物性に関する研究
Project/Area Number |
03J07062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤枝 俊 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遍歴電子メタ磁性転移 / キュリー温度 / 磁気冷凍 / 磁気熱量効果 / 磁気エントロピー変化 / 磁気体積効果 |
Research Abstract |
本研究ではLa(Fe_xSi_<1-x>)_<13>化合物の水素吸収によるキュリー温度の制御を利用した新規高性能機能性材料の開発を行なうと共に、基礎研究の立場から水素吸収によるメタ磁性転移の変化と磁気体積効果の関係を議論し、材料開発の原理的解明を行なうことを目的としている。 Fe濃度の増加に伴いLa(Fe_xSi_<1-x>)_<13>化合物のキュリー温度は低下し、磁気熱量効果は向上する。しかし、LaとFeは非固溶なので、x>0.90の組成範囲において本化合物を作製することは困難である。そこで本年度はLa(Fe_xSi_<1-x>)_<13>化合物およびその水素吸収化合物のメタ磁性転移に伴った巨大磁気熱量効果の向上と動作温度範囲の低下制御に関する研究を行った。その結果、La(Fe_<0.90>Si_<0.10>)_<13>化合物のLaをCeで部分置換することで磁気体積効果により、キュリー温度は低下し、磁気熱量効果が向上することが明らかとなった。La(Fe_<0.90>Si_<0.10>)_<13>化合物のLaは20%程度までCe部分置換でき、La_<0.8>Ce_<0.2>(Fe_<0.90>Si_<0.10>)_<13>化合物はキュリー温度173K直上で-34J/kg Kの磁気エントロピー変化を示す。つまり、Ce置換によりキュリー温度は11K程度低下し、磁気エントロピー変化は20%程度増加する。さらに注目すべきことは、La_<0.8>Ce_<0.2>(Fe_<0.90>Si_<0.10>)_<13>化合物の磁気熱量効果は水素吸収後においても保持されることである。このことは、水素吸収La(Fe_xSi_<1-x>)_<13>H_y化合物の磁気熱効果もCe部分置換で向上することを意味している。従って、La_<1-z>Ce_z(Fe_xSi_<1-x>)_<13>化合物およびその水素吸収化合物は170Kから室温の温度範囲において磁気冷凍作業物質として有望である。
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Research Products
(6 results)