2003 Fiscal Year Annual Research Report
銀河中心における超巨大ブラックホールの進化の観測的研究
Project/Area Number |
03J07116
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長尾 透 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 活動銀河核 / 電離ガス / ブラックホール / 光赤外観測 / 光電離モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、銀河中心におけるブラックホール周辺部の理解を深め、その形成と進化の過程を知る事にある。また観測データから情報を取り出すために必要な理論モデルの整備を行う事も重要な研究項目の一つである。 今年度は文部科学省ハワイ観測所のすばる望遠鏡にて得られた近傍活動銀河中心核に対する可視高分散スペクトルの解析を進め、中心核のブラックホール周辺でどのように電離ガスが分布し、運動しているのかを明らかにした。この際、研究目的との関係で観測データの解析方法に独自の手法を開発して適用した。またデータを物理的に解釈するために多領域光電離モデルを構築し、観測結果を整合的に解釈する事に成功した。この結果は既に査読論文として出版した。 そういったブラックホール周辺部での電離ガス分布の詳細や質量降着を引き起こす要因を理解するために、平成15年4月、10月、平成16年3月にすばる望遠鏡にて可視偏光分光観測と中間赤外分光観測を近傍活動銀河中心核に対して行う事を試みた。可視偏光分光観測は4天体についてデータを得ることに成功し、解析の結果これまで未発見であった内部構造の発見や電離領域の階層構造に関する極めて新しい知見を得る事ができた。現在はこれらの結果の論文化を進めている所であり、1編が投稿中、1編が投稿準備中である。中間赤外分光観測については悪天候のためデータを得る事ができなかったが、来年度にNASAの赤外線望遠鏡で観測を行いたいという観測提案を採択させるに至っている。 銀河中心ブラックホールの進化について考えるため、各種の深宇宙探査計画に参加し、特に「すばるディープサーベイ計画」の可視分光観測においてはデータ解析の主力として貢献した。その結果、赤方偏移6を越す最遠方天体を複数発見するに至った。この結果は現在論文準備中である。
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[Publications] 長尾 透: "Subaru High-Dispersion Spectroscopy of Narrow-Line Region in the Seyfert Galaxy NGC 4151"The Astronomical Journal. 126. 1167-1182 (2003)
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[Publications] 山田 早苗: "Are Two Z〜6 Quasars Gravitationally Lensed?"Publication of the Astronomical Society of Japan. 55・4. 733-738 (2003)
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[Publications] 安食 優: "A Subaru Search for Lyman-α Emitters at Redshift 5.7"The Astronomical Journal. 126. 2091-2107 (2003)
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[Publications] 梅田 和義: "The Hα Luminosity Function of the Galaxy Cluster Abell 521 at z【similar or equal】0.25"The Astrophysical Journal. 601. 805-812 (2004)