2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿崎 充 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超対称模型 / 大統一理論 / 余剰次元模型 / 世代混合 / ダークマター / ニュートリノ / ハドロン電気双極子能率 / CP対称性の破れ |
Research Abstract |
高エネルギー実験で得られたデータを基に、素粒子間の相互作用を解明し、素粒子標準模型を超えた基礎理論を探索する研究を遂行した。主な成果は以下の通りである。 3つのゲージ結合定数が非常に高いエネルギースケールで一致することが判明して以来、超対称大統一理論は標準模型を超える物理の有力な候補として精力的に研究されてきた。一方で、ハドロン電気双極子能率実験が超対称模型においてCP対称性を破るスカラークォークの世代混合を厳しく制限していることが最近指摘された。我々はこの現状を鑑み、ハドロン電気双極子能率が超対称大統一理論に与える制限を調べた。右巻きニュートリノを持つ超対称大統一理論では、現在の実験は既に右巻きニュートリノの質量に上限を与えていることを示した。また、大統一対称性及び超対称性が共に余剰次元の端で破れる模型においては、予言されるハドロン電気双極子能率の大きさが実験の上限値付近であることを示した。 総ての標準模型の粒子が余剰次元を伝播する模型では、最も軽い第一励起粒子はある種のパリティ対称性により安定であり、ダークマターの良い候補となる。我々は第二励起粒子が、このダークマターの関わる物理現象に甚大な影響を及ぼすことを初めて指摘し、予言されるダークマターの消滅断面積と現在の残存量を再評価した。消滅断面積は第一励起粒子のみ考慮に入れた場合に比べ増大するため、WMAPの観測結果と一致するダークマターの質量も大きくなることを示した。また、現在の宇宙においても、閾値異常により対消滅断面精が著しく増大することを示した。
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Research Products
(3 results)