2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ組織化を利用した高効率光触媒チタン化合物膜の製造
Project/Area Number |
03J07140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 貴宏 東北大学, 金属材料研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光触媒 / チタン酸化物 / レーザーアブレーション法 / アナターゼ / 部分窒化 |
Research Abstract |
本研究は,レーザーアブレーション(Pulsed laser deposition : PLD)法を用いて成膜したチタン酸化物薄膜の構造,光吸収スペクトル,光触媒活性を詳細に調べ,高効率光触媒薄膜実現のための成膜技術および薄膜設計コンセプトの確立を目的とした. 成膜時の雰囲気ガスの種類および分圧を制御して薄膜を作製する雰囲気制御型レーザーアブレーション法(Atmosphere controlled PLD : ACPLD)は,研究代表者がはじめて確立した成膜手法である.前年度は本手法により,二酸化チタンターゲットを用いた二硫化炭素ガス雰囲気での成膜により,成膜時の二硫化炭素ガスの圧力を精密に制御することで,可視光領域に広い吸収を有する高活性な部分硫化チタン酸化物薄膜の合成に成功した. この結果を踏まえ,本年度は,成膜時にアンモニアガスやアセトニトリルガスを導入し,部分窒化チタン酸化物膜の合成を試みた.アンモニアガス雰囲気での成膜では,作製した薄膜の光特性の変化は見られなかったが,アセトニトリルガス雰囲気での成膜では,ガス分圧を制御することで可視光領域に吸収を持つ薄膜の合成に成功した.この実験結果と,前年度の二硫化炭素ガス雰囲気での成膜実験の結果から,ACPLD法を用いた成膜では,雰囲気ガス中に含まれる炭素原子がもつチタン酸化物中の酸素を還元する能力が,異種原子ドープ型チタン酸化物薄膜の作製に有効であることを見出した. 一方,これまでPLD法を用いた二酸化チタン薄膜の成膜では,高温安定相のルチル相の形成が問題となってきた.そこで,PLD法を用いて光触媒活性に優れるチタン酸化物のアナターゼ相生成メカニズムについて検討を行い,二酸化チタンのアナターゼ相がアモルファス相から形成することを見出した.成膜時に均一なアモルファスチタン酸化物薄膜を作製することでその後の熱処理により,光触媒活性に優れるアナターゼ相が優先的に成長した薄膜の合成に成功した.
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Research Products
(1 results)