2003 Fiscal Year Annual Research Report
フォスファゼン塩基を用いる芳香族アニオン化学の新展開
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03J07175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今堀 龍志 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 芳香族化合物 / 脱プロトン化 / 1,2-付加反応 / 一段階反応 / 有機塩基 / フォスファゼン塩基 / 位置選択性 / 化学選択性 |
Research Abstract |
芳香族脱プロトン-修飾反応は、通常、強力な塩基性を有する金属性塩基(リチウムアミド等)による反応である。金属性塩基、生成する芳香族金属化合物の反応活性が反応の化学選択性を決定し、また、反応の位置選択性は金属塩基の金属のキレーションの効果が大きく影響していると推定されている。これらの反応は有機金属の化学としてとらえることができる。これに対し本研究は、強力な塩基性を有する非金属性有機塩基であるフォスファゼン塩基(t-Bu-P4塩基)による芳香族脱プロトン-修飾反応の開発を試みたものであり、金属の効果を排除することにより新しい反応性、選択性の発現を探究した。 親電子剤としてカルボニル化合物共存下、t-Bu-P4塩基の低い求核性を活かした一段階脱プロトン-1,2-付加反応が進行した。ベンゾチアゾールの2位、3-ブロモピリジンの4位、ピリダジンの4位、ピリミジンの5位、4-ブロモベンゾニトリルの3位において、反応は室温下の温和な条件下で進行し、ブロモ基、シアノ基といった金属性塩基による反応においては副反応の進行し易い官能基に高い共存性が示され、また、ピリダジン、ピリミジンといった基質自体が親電子性であり、金属性塩基による反応が困難な基質に対しても高選択的に反応が進行した。効率的かつ化学選択的な反応が進行した。また、3-ブロモピリジン、ピリダジン、ピリミジンに対する反応においては、ヨウ化亜鉛の添加により反応が劇的に加速された。 また、これらの反応の位置選択性は大変興味深いものとなった。ピリダジンの4位、ピリミジンの5位、4-ブロモベンゾニトリルの3位の反応は従来までの金属性塩基による脱プロトン-修飾反応では実現不可能な位置選択性であり、特異な選択性を有する新規芳香環修飾法を見いだすことができた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tatsushi, Imahori, Yoshinori, Kondo: "A New Strategy for Deprotonative Functionalization of Aromatics : Transformations with Excellent Chemoselectivity and Unique Regioselectivities using t-Bu-P4 Base"Journal of the American Chemical Society. 125. 8082-8083 (2003)