2003 Fiscal Year Annual Research Report
ポリ環状エーテルのコンサイスな合成法開拓と海洋産天然物合成への応用
Project/Area Number |
03J07196
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高村 浩由 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリ環状エーテル / ガンビエロール / ブレベトキシンB / 全合成 / 構造活性相関 / 活性発現 / 類縁体 |
Research Abstract |
ブレベトキシン、シガトキシン、ガンビエロールに代表される海洋産ポリ環状エーテルは、赤潮による魚介類の大量死やシガテラと呼ばれる大規模な食中毒を引き起こし、それらは世界中で深刻な社会問題となっている。しかし、自然界のこれらの化合物は微量成分であるため、天然物による生物学的研究は困難である。そのため、その詳細な生理活性発現機構の解明のためには化学合成による試料供給が必要である。そこで、本研究では、ガンビエロール、ブレベトキシンBを合成化学的に供給し、さらに、各種類縁体を合成し、構造活性相関を明らかにすることを目的としている。これにより生理活性部位や生理活性発現機構を解明し、中毒の予防や治療に関する研究に貢献することを目指している。 1 ガンビエロールの合成研究 上記の研究目的に基づき、まず、ガンビエロールの合成研究を行った。大量合成が可能な実用的な合成ルートにより、左セグメントと右セグメントをそれぞれグラムスケールで合成した。その後、両セグメントの連結を行い基本骨格を構築した。さらに、側鎖導入などの化学変換反応を行うことでガンビエロールの全合成を達成し、その量的供給を図るという目的を達成した。全合成完了後、その詳細な生理活性発現機構を解明する目的で、各種類縁体を合成した。ガンビエロールの側鎖部位の構造の異なるもの、ガンビエロールの二量体などの類縁体を合成したが、これらの類縁体は顕著な生物活性を示さなかった。 2 ブレベトキシンBの合成研究 ガンビエロールの合成研究と並行してブレベトキシンBの合成研究を行った。まず、左セグメントの合成を行った。この部位を収束的、かつ効率的に合成することを目指し検討を行った結果、新規反応を開拓することに成功した。この方法を用いることで、ブレベトキシンBの左セグメントを収束的、かつ効率的に合成することができた。今後は、右セグメントとの連結を行う予定である。
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[Publications] Kadota, I, Takamura, H., Sato, K, Ohno, A., Matsuda, K., Yamamoto, Y.: "Total Synthesis of Gambierol"J.Am.Chem.Soc.. 125・1. 46-47 (2003)
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[Publications] Kadota, I, Takamura, H., Sato, K, Ohno, A., Matsuda, K., Satake, M., Yamamoto, Y.: "Convergent Total Syntheses of Gambierol and 16-epi-Gambierol and Their Biological Activities"J.Am.Chem.Soc.. 125・39. 11893-11899 (2003)