2003 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌DNAポリメラーゼIのゲノム安定性維持機構の研究
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03J07221
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 有希 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 欠失突然変異 / フレームシフト突然変異 / 複製スリップ / ポリメラーゼI / 活性酸素 / ポリメラーゼIV / ポリメラーゼII / ポリメラーゼV |
Research Abstract |
突然変異の中で、欠失やフレームシフトは、遺伝子を完全に不活化するため、ガン等の遺伝子疾患に直接関わると考えられている。大腸菌の場合、DNAポリメラーゼのスリップによって欠失やフレームシフト変異が生成される事を以前明らかにした。他方、DNAポリメラーゼIは、欠失やフレームシフトの生成中間体(ミスマッチ)を修復することで、欠失やフレームシフトの生成を抑制していると考えられる。本年度は、突然変異やガンを誘発する活性酸素が、欠失やフレームシフトの生成に如何に関わるか、その生成に、ポリメラーゼIが抑制的に働くかどうかについて研究を行った。活性酸素源としてx-線を用いた所、1塩基欠損フレームシフトが良く生じること、この生成には、自然フレームシフト生成に関わるDNAポリメラーゼIは関与しないことが明らかとなった。次に、欠失やフレームシフト変異は、DNA複製のスリップで生じることが知られているが、ポリメラーゼII、III、IV、Vの4個のポリメラーゼのうち、どのポリメラーゼが関与するかどうかについての研究を始めた。ポリメラーゼIVの欠損株を調べた所、1塩基欠失フレームシフトはポリメラーゼIV正常株に比べて、その頻度が半分になった。他方、1塩基付加フレームシフトは、正常株に比べて、ポリメラーゼIV変異株で、頻度に変化はなかった。このことから、1塩基欠失変異の半分はDNAポリメラーゼIVによる複製で生成されること、付加フレームシフト生成にはポリメラーゼIVは関与しないことが明らかとなった。今後は、ポリメラーゼII、ポリメラーゼV変異との単独、二重、三重変異株を作成し、その過程に関わるポリメラーゼの実体を明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yuki Nagata: "X-ray-induced mutations in Escherichia coli K-12 strains with altered DNA polymerase I activities."Mutation Research. 528. 93-103 (2003)
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[Publications] 永田 有希: "ループを伴うDNA複製と自然突然変異"放射線生物研究. 38. 189-200 (2003)