2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07227
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安村 有子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植物生態学 / シロザ / オオバクロモジ / 光合成 / 窒素 / 窒素回収 / タンパク質 / 葉の老化 |
Research Abstract |
1)ポット栽培した一年生草本シロザの生葉と枯葉で窒素含量とタンパク質(主要な窒素化合物)含量を測定し、葉の老化に伴う窒素の回収について調べた。タンパク質は、可溶性タンパク質(カルビン回路系の酵素など)、チラコイドタンパク質、細胞壁タンパク質の三画分にわけて定量した。 老化に伴い、総窒素の70〜80%が回収された。生葉では、窒素の約60%がタンパク質に投資されており、そのうち半分以上は可溶性タンパク質、4割程度がチラコイドタンパク質、1割以下が細胞壁タンパク質に投資されていた。全ての画分は老化期に大幅に減少しており、それぞれが窒素回収に貢献していたと思われる。特に、可溶性タンパク質とチラコイドタンパク質は80%以上が分解されていた。 2)野外に生育するオオバクロモジの陽葉と陰葉で、光合成能力とともに窒素化合物量がどのように季節変化するかを調査した。サンプルとして、昨年度、光合成能力の測定後に採取し低温保存していた葉片を用いた。 光飽和光合成速度、窒素含量、クロロフィル含量、タンパク質含量は、春に上昇傾向がみられ、夏にピークに達し、秋に急激に減少するという傾向を示した。展葉が完了した初夏以降、葉の窒素含量はクロロフィル含量、ルビスコ含量、またタンパク質含量と正の相関があった。また、光飽和光合成速度は窒素含量、クロロフィル含量、ルビスコ含量、タンパク質含量との間に正の相関があった。結果から、展葉完了後には光合成に関係する各特性は協調して季節変化し、それに伴って光合成能力も変化していることが示唆された。 秋に葉が老化する過程において、葉の窒素の約70%が回収されていた。生葉では窒素の90%前後がタンパク質に投資されていた。オオバクロモジでは老化期にタンパク含量の90%以上が分解されており、回収される窒素のほとんどがタンパク質由来であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)